タロット、手相。それ以外は? 知っておきたい占いの方法一覧

占いというと「当たるか当たらないか」がまず話題になります。ですが世界各地の占いを並べてみると、そもそも何を手がかりに運命を読んでいるのかが驚くほどばらばらです。亀の甲羅のひび割れを見るものもあれば、生まれた瞬間の干支を四本の柱に組み立てるものもあり、手のひらの線や顔のパーツを観察するものもあります。もとは占いのための道具ではなかったものも多く、タロットのカードもその一つです。遊び道具が何百年もかけて運命の道具に変わっていったケースは、意外と珍しくありません。

今回は、占いの「方法」そのものに注目して、何を読み、どこで生まれ、どう日本に渡ってきたのかを一覧でたどってみます。

占いは何を読むかで大きく分けられる

タロットから手相まで知っておきたい占いの方法一覧

占いの方法は、手がかりにする対象で大まかに四つのグループに分けられます。一つ目は亀の甲羅や骨のひび、天体の動きといった自然現象を読むもの。二つ目は手のひらの線や顔のパーツといった身体を読むもの。三つ目はカードや数字、くじといった偶然性を利用するもの。四つ目は生まれた年月日時という暦のデータを数式に当てはめて計算するものです。

同じ「占い」という言葉でくくられていても、亀の甲羅を焼く作業と生年月日を干支に変換する計算は、やっていることの性質がまったく違います。この違いを意識して見ていくと、それぞれの占いがどんな時代にどんな必要から生まれたのかが見えてきます。この記事で取り上げる占いを、起源の地域や時代、読む対象で整理すると次のようになります。

占いの名前 起源の地域・時代 読む対象
太占・亀卜 弥生時代の日本(起源は中国大陸) 骨や甲羅のひび
易経 古代中国(伝説では紀元前) 筮竹やコインの並び
四柱推命 唐から宋の中国 生年月日時の干支
九星気学 明治から大正の日本(源流は古代中国) 生年月日と方位
姓名判断 昭和初期の日本(源流は奈良時代の陰陽道) 名前の画数
風水 古代中国 土地や建物の配置
手相 古代インド 手のひらの線
人相学 古代中国・古代ギリシャ 顔のパーツ
西洋占星術 古代バビロニア 天体の配置
タロット 15世紀の北イタリア カードの並び
数秘術 古代ギリシャ(ピタゴラス) 生年月日や名前の数字

甲羅や骨のひびに運命を見た、占いの最も古い形

タロットから手相まで知っておきたい占いの方法一覧

もっとも古い占いの形は、動物の骨や甲羅を焼いて、できたひび割れの形で吉凶を判断する方法です。日本では、牛や猪、鹿の肩甲骨を焼いて占う方法全般を「卜骨」と呼びます。その中でも鹿の肩甲骨だけを使うものが「太占」、海亀の甲羅を使うものが「亀卜」です。弥生時代に中国大陸から朝鮮半島を経由して伝わったとされ、出土する卜骨の多くは鹿や猪の肩甲骨です。海亀の甲羅を使う卜甲はそれより後に現れ、現状確認されている最古のものは6世紀のものとされています。

この亀卜は、実は今も完全に廃れたわけではありません。対馬の豆酘にある雷神社では、亀卜を世襲してきた家が旧暦正月の祈年祭で今も亀の甲羅を焼く神事を奉仕しています。かつては壱岐や伊豆でも行われていましたが、現代まで伝承が続いているのは対馬のこの神社だけとされています。

この「ひびの形で吉凶を占う」という発想は、実はおみくじにも間接的につながっています。おみくじの原型は、比叡山延暦寺を復興させた平安時代の僧、元三大師良源にあるといわれています。良源は912年から985年にかけて生きた人物で、比叡山中興の祖として知られる人物です。観音菩薩から授かったとされる百の偈文を使い、相談者に一枚を引かせて助言を与えていたのが、その始まりとされています。この偈文は一度途絶えますが、江戸時代初期に徳川家に仕えた天海僧正が、信州戸隠で百枚を再発見しました。これが「元三大師百籤」として天台宗の寺院に広まり、さらに「観音百籤」として多くの寺社でおみくじとして定着していったとされています。亀の甲羅のひびも、お寺で引く一枚の紙も、どちらも「偶然の中に意味を見出す」という同じ発想の上に立っていることになります。

暦と数式で運命を計算する、中国生まれの占い

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中国で生まれた占いの多くは、偶然ではなく計算で運命を読もうとする点が特徴です。

易経 陰と陽の組み合わせで未来を読む

易経は3000年以上の歴史を持つとされる占いの書で、陰と陽の組み合わせでできる六十四卦が基本になっています。伝説では、伝説的な帝である伏羲が八卦を創始し、周の文王が六十四卦に言葉を付け、周公旦が爻の意味を書き加え、春秋戦国時代には孔子とその弟子たちが注釈を加えたとされていますが、これはあくまで伝説であり、歴史的事実として確認されているわけではありません。占いの書であると同時に、陰陽思想や宇宙観を語る哲学書としての側面も持ち、世界でもっとも古い占いの一つに数えられています。

実際に卦を立てる方法も一つではありません。もっとも伝統的なのは、50本の筮竹を使う方法です。まず1本を脇に置き、残り49本を何度も分け直す操作を繰り返して、1本ずつ爻を決めていきます。もう少し手軽な方法として、六枚のコインを使う方法もあり、十円玉五枚と百円玉一枚を振って出た表と裏の並びから卦を読み取ります。筮竹は本格的な分、時間がかかり、コインは短時間で済むぶん手軽という違いがあるようです。

四柱推命 生まれた瞬間を四つの柱に組み立てる

四柱推命で使われる干支は、殷の時代に占いに使われた獣骨、いわゆる甲骨文字にすでに記録が残っています。現代につながる形を作ったのは唐の時代の李虚中です。ただこの時点ではまだ三つの柱しかなく、四柱推命とは呼べないものでした。四つにそろえたのは宋の時代、占星術師でもあった徐子平です。生まれた日を中心に、時刻の干支を加えました。同じく宋代の徐升がこれを研究してまとめたのが『淵海子平』という書物で、これが今日の四柱推命学の原典とされています。中国では今も「子平」と呼ばれており、「四柱推命」という呼び方自体は日本で付けられたものです。

九星気学と姓名判断 日本で体系化された二つの占い

九星気学の思想の起源は、紀元前の中国にまでさかのぼるといわれます。伝説的な帝である禹王が、亀の甲羅から読み取った九つの符号を「洛書」としてまとめたのが始まりとされ、後漢の時代に完成した陰陽五行説がその土台になっています。この源流となる思想は平安時代の日本にすでに伝わっていましたが、現在の形に整えたのは明治から大正にかけて活動した園田真次郎です。園田は九星術をもとに気学として体系化し、1924年ごろに創始、1925年2月には日本橋小伝馬町で開いた講習会から広まっていったとされています。

姓名判断も、ルーツをたどれば中国の陰陽五行思想にあり、奈良時代に陰陽道とともに日本に伝わりました。平安時代の貴族社会では、子の命名に陰陽師が関わることも珍しくなかったものの、当時重視されたのは家格や由緒で、画数による吉凶判断は副次的なものでした。現在よく知られている「画数で吉凶を占う」姓名判断を確立したのは、昭和初期の熊崎健翁です。熊崎は1928年に五聖閣を設立し、翌1929年に「熊崎式姓名学」を発表、同年に出版した『姓名の神秘』で、天格・人格・地格・外格・総格という五格剖象法を体系化しました。今、日本で広く使われている姓名判断の多くは、この熊崎式の流れをくんでいます。

風水 運命ではなく空間を読む

風水は運命そのものより、暮らす場所や建物の配置を読む点で少し毛色が異なります。起源は4000年から5000年前、伝説上の君主である黄帝にあるとされ、中国最古の史書「尚書」には、地形を視察して吉凶を判断した記録が残っています。専門用語として「風水」の名が使われ始めたのは4世紀、晋代の郭璞が書いた『葬書』が最初とされ、唐代には国を豊かにし戦いに勝つための知恵として、兵法のように扱われるまでになりました。

手のひらと顔から性格を読む占い

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身体の特徴から運命を読む占いの代表が手相と人相です。

手相の起源は、3000年から5000年前の古代インドにあるとする説が有力です。ヴェーダの時代にはすでに手のひらの線が個人の運命と結びつけられ、そこから中国、エジプト、ギリシャへと伝わっていきました。中国では陰陽五行思想と結びついて手のひらの形が五臓六腑と関連付けられ、ギリシャではアリストテレスが手相についての考察を残しています。現在広く使われている西洋手相学の基礎は、19世紀フランスの手相家デバロールとダルパンチーニによって作られました。

人相学の起源もやはり古代中国にあり、最古の記録は『春秋左氏伝』に残る、周の内史だった叔服という人物が人相を見る技術を持っていたという記述です。春秋時代には、姑布子卿という人相家が幼い孔子を見て「世に稀なる聖人になる」と予言したという逸話も伝わっています。ギリシャではアリストテレスが人の顔を動物の種類にたとえて観相学を論じ、18世紀にはスイスのラヴァーターが『人相学断章』を著しました。日本では江戸時代、医業のかたわらで観相学を学んだ石龍子という人物が始まりとされています。

星の動きとカードの配列が運命になるまで

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天体やカードを使う占いは、もともと占い以外の目的で始まったものが多く含まれます。

西洋占星術の起源はバビロニアにあります。紀元前2千年紀のバビロニアでは、天の星々と神々を結びつけ、天に現れる徴が地上の出来事の前兆になるという考え方が生まれました。紀元前1000年ごろにまとめられた『エヌーマ・アヌ・エンリル』は、そうした前兆の記録です。現存する最古の出生図は紀元前410年のもので、楔形文字で貴族の子弟の星位が記録されています。ただ、この時点ではまだ現代のホロスコープ占星術の概念はほとんど現れていません。本格的に現れるのは、紀元前332年にアレクサンダー大王がエジプトを占領した後です。ギリシャの支配下でヘレニズム文化が栄える中で、個人の運勢を占うホロスコープ占星術が姿を見せ始めたとされています。

タロットは、もともと占いのために作られたカードではありません。1425年ごろ、北イタリアの貴族社会で生まれたタロットは、数札に切り札の絵札を加えたトランプゲームの一種で、現存最古のパックとされる「ヴィスコンティ・スフォルツァ版」も、1440年代から1450年代にミラノの貴族の間で作られた遊戯用のカードです。15世紀後半には北イタリアの宮廷でタロット・ゲームが盛んに行われていましたが、このカードがヨーロッパ各地に伝わる中で、時間をかけて神秘的、秘教的な意味を持つ占いの道具へと姿を変えていきました。遊びの道具が運命の道具になるまでに、数百年の時間がかかっていることになります。

現在のタロットは、大アルカナ22枚と小アルカナ56枚、合わせて78枚で構成されています。大アルカナは「愚者」から「世界」まで、人生の大きな局面を描いた寓意的な絵札で、小アルカナはワンド、カップ、ソード、ペンタクルという4種類のスートに分かれ、それぞれ14枚ずつ、トランプの数札やコートカードに近い役割を持っています。北イタリアの貴族が遊んでいたトランプゲームの切り札の名残が、今の大アルカナの位置づけに重なって見えてきます。

数字に宿る法則を読む数秘術

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数字を使う占いの起源は、紀元前3000年ごろの古代エジプトやバビロニアにすでに見られるとされます。ですが、より広く知られているのは古代ギリシャの哲学者ピタゴラスとの結びつきです。ピタゴラスやその教団は、音程や天体の運動、人間の個性といった森羅万象が、数字の関係性や法則で説明できると考えました。これが数秘術の根幹になったとされています。紀元前3世紀から2世紀ごろ、ピタゴラス派の哲学者たちによって数秘術が確立されました。その後はユダヤ教のカバラの書物によってさらに肉付けされ、ルネサンス期のヨーロッパで大流行します。今のような純粋な占いの形で広まったのは20世紀に入ってからです。古代の数学的な世界観が長い時間をかけて運命判断の道具に変わっていった点は、タロットの歴史とよく似ています。

今広く使われている計算方法の一つが、生年月日の数字をすべて一桁になるまで足し合わせていく「ライフパスナンバー」です。たとえば1985年10月26日生まれなら、1、9、8、5、1、0、2、6をすべて足して32、さらに3と2を足して5という具合に、一桁の数字が出るまで計算を続けます。途中で11、22、33といった数字が出た場合はそこで計算を止める「マスターナンバー」という例外もあり、この数字が持って生まれた才能や人生のテーマを表すとされています。

なぜ当たっている気がしてしまうのか

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ここまで見てきた占いの多くに共通するのが、結果を聞いた側が「当たっている」と感じやすい仕組みです。心理学ではこれをバーナム効果と呼びます。「あなたは時々不安を感じることがある」「優しさと強さを両方持っている」。誰にでも当てはまる曖昧な表現を、自分だけに当てはまる言葉だと感じてしまう現象です。さらに、当たっていると感じた部分は強く印象に残ります。外れた部分や心当たりのない部分は、逆に忘れがちです。この確証バイアスが、バーナム効果と同時に働きます。対面で行う占いでは、相手の服装や年齢、話し方、表情への反応を手がかりに情報を絞り込んでいく、コールドリーディングと呼ばれる技術が使われることもあります。

これは占いが嘘だということを言いたいわけではありません。曖昧な言葉の中から自分に必要な意味を見つけ出す力は、むしろ占いという文化が長く愛され続けてきた理由そのものだとも言えます。

亀の甲羅からAIタロットまで、変わらない占いの役割

占いの方法は時代によって様変わりしても、使われ方自体はそれほど変わっていないようです。ある調査では、Z世代の34.5パーセントが占いへの関心が高まっていると回答し、そのうち習慣的に占いを利用している人の46.9パーセントが「決断の後押し」を期待していると答えています。アメリカのZ世代の間では、AIにタロットカードを鑑定させるアプリが広がり、TikTokやRedditでは、AIが出した占いの結果を共有するコミュニティまで生まれています。

亀の甲羅を焼いてひびを読んでいた人たちも、タロットカードを配っていた北イタリアの貴族たちも、決断の前に何か後押しがほしいという同じ気持ちを抱えていたのだとすれば、占いの道具が甲羅からカードへ、そしてアプリやAIへと変わっても、そこで起きていることの本質はあまり変わっていないのかもしれません。

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参考

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-偏愛が気づかせる、私たちの見えていなかった世界-

なぜだか目が離せない。
偏った愛とその持ち主は、不思議な引力を持つものです。
“偏”に対して真っ直ぐに、“愛”を注ぐからこそ持ち得た独自の眼差し。
そんな偏愛者の主観に満ちたピントから覗かれる世界には、
ウィットに富んだ思いがけない驚きが広がります。
なんだかわからず面白い。「そういうことか」とピンとくる。

偏愛のミカタ PinTo Times