草はもう古いと言われる理由と、SNSでの実際の使われ方を徹底解説

「草」はもう古いと言われているのは本当なのか

草はもう古いと言われる理由と、SNSでの実際の使われ方を徹底解説

ネット上の笑いを表す「草」という言葉に、少し前のめりすぎる印象を持ったことがある人は少なくないはずです。実際に2026年4月、株式会社ワカモノリサーチが全国の現役高校生235人を対象に実施したインターネット調査で、「最近『この言葉もう古いなぁ』と感じた言葉」を自由回答で聞いたところ、「草」は8位(2.6%)にランクインしました。日常的に見かける言葉だけに、この結果を意外に感じる人も、逆に納得する人もいるはずです。

高校生235人が選んだ「古い言葉」の全順位

同調査が公表した上位10位は次の通りです。

順位 言葉 回答割合
1位 ぴえん 12.8%
2位 まじ卍 8.5%
3位 チョベリグ 6.0%
4位 チョベリバ 5.1%
5位 写メ 3.8%
6位 ナウい 3.4%
7位 エモい 3.0%
8位 草 2.6%
9位 それな 2.1%
10位 はにゃ? 1.7%

「ぴえん」や「まじ卍」のような数年前のブーム語だけでなく、「それな」や「エモい」のように今も広く使われているとされる言葉まで同じランキングに並んでいる点が、このアンケートのおもしろさです。特別に浮いた存在というより、ここ数年のネット発の言葉がまとめて「飽きられつつある」と見られている状況がうかがえます。

死語や若者言葉を並べた一覧記事の中では、「草」は数多くの言葉に挟まれた一項目として簡単に触れられるだけのことが多い言葉です。しかし改めて単独で掘り下げてみると、発祥から現在までの広がり方や、世代ごとの受け止め方の違いなど、一覧ではこぼれてしまう論点が見えてきます。

高校生が「古い」と感じた理由

この調査では、「草」を古いと感じた回答者から「周りで一時期はやってたけどもう聞かないから」「響きが平成っぽくて古いから」「ママが使ってて古いと思った」といったコメントが寄せられています。特に「ママが使っている」という回答は注目に値します。もはや若者だけの言葉ではなく保護者世代にまで広がった結果、十代にとっての新鮮さを失ったことを示す具体的な証言だからです。言葉は広く浸透するほど、最初に使っていた世代にとっては手垢がついたものに見えやすくなるもの。

「草」はどこから生まれ、どう広がったのか

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成り立ちをたどると、2000年代の電子掲示板文化に行き着きます。発端は「(笑)」をローマ字入力で略した「w」で、これが「wwwww」のように複数連なった状態が、見た目として草が生えているように見えることから「草」という言い換えが定着しました。2000年代にはすでに2ちゃんねる上で笑いを「草」と表現する使い方が見られたとされています。

なんJという舞台

一つの板の文化を越えてこの言葉が広がっていく上で大きな役割を果たしたのが、通称「なんJ」と呼ばれる掲示板です。なんJは2004年に「なんでも実況ジュピター」として開設された板で、当初はプロ野球の実況を中心としたスポーツ実況専用の板でした。2009年に野球専用実況板の住民が流入してきたことで雰囲気が大きく変わり、以後10年ほどインターネット文化の中心地の一つとして機能するようになります。2010年代前半になると、このなんJを中心に「草」という表現が勢いを増していき、2014年4月には1日あたりの書き込み数で、当時最大級の板だったVIPを抜いて1位になるほどの規模に成長しました。こうして大量のユーザーが日常的に書き込む場で定着した「草」が、2016年頃にはX(旧Twitter)をはじめとする一般のSNSにも広がっていったという流れです。

「w」を抜いた逆転劇

もともと「w」の言い換えとして生まれたこの表現は、現在ではSNS上での利用頻度が由来となった「w」そのものを上回っているとされています。派生語として「草生える」「草不可避」といった表現も広がり、単なる略語から独立した一つの単語として扱われるようになった点は、ネットスラングとしては比較的珍しい成長の軌跡です。一つの記号だった「w」が、「草」という名詞的な単語に変化し、さらに「生える」という動詞と組み合わさって新しい表現を生み出した流れは、ネット発の言葉がどのように言語として自立していくかを示す一例といえます。

笑いの大きさを表す「草」のスケール

単純な略語を超えて独自の言語体系を作った証拠として、笑いの大きさに応じた派生表現の豊富さが挙げられます。少しだけ笑った程度なら「小草」、大きく笑った場合は「草生える」、さらに笑いが大きい場合は「大草原」、大爆笑と呼べるレベルは「大草原不可避」と表現されます。加えて「草生える」をもとにした言葉遊びとして、「竹生える」「笹生える」、より大きな笑いを表す「森生える」といった表現まで生まれました。植物つながりの比喩で笑いの強弱を細かく描き分ける体系が自然に育っていった点は、一時的なスラングの域を越えて、ある程度の言語的な広がりを持つ表現として受け入れられてきたことの証です。

データで見る「草」の現在地

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「もう古い」と感じる高校生が一定数いる一方で、「草」がすでに使われなくなった言葉とまでは言い切れない事情もあります。

「死語」と「定着語」の分かれ道

流行語には大きく二つの末路があるとされます。一つは急速に広まった後に誰も使わなくなる死語化で、もう一つは新奇性を失いながらも日常語として生き残る定着化です。「ぴえん」や「まじ卍」のように短期間でブームが去った言葉と並べて見ると、「草」は後者に近く、目新しさは薄れつつもSNS上での日常的な使用は一定の水準を保っているとみられます。つまり飽きられて消えた流行語とは違い、当たり前になりすぎて話題にすらならない言葉という立ち位置に近づいていると考えられます。なんJという一つの板から生まれた言葉が、十年以上の時間を経ても完全には消えていない。ネットスラングとしては異例の寿命の長さ。

大学生調査が示す「笑」優勢の流れ

2024年9月にbienoが東京大学・早慶上智・GMARCH・関関同立の大学生259人を対象に行った調査では、「笑」と表現すると答えた大学生が約7割にのぼり、「w」がそれに続く結果となりました。この調査は「笑」と「w」の二択を軸にしたもので「草」は選択肢として直接比較されていませんが、テキストの締めに使う笑い表現の主流が、かつての「草」全盛期から「笑」や「w」へと移っていることをうかがわせるデータです。

相手によって表現を変える人はどれくらいいるのか

キューモニターがアプリ利用者80,899人を対象に2023年8月15日から16日にかけて実施した調査では、相手や状況によって笑いの表現を使い分けるかどうかを聞いています。結果は10代で約42%が「使い分ける」と回答し、若年層ほど使い分ける傾向が高いという結果になりました。一方で30代は「使い分けない」と答えた割合が最も高く、70代以上でも約60%が「使い分ける、もしくは使い分けることもある」と回答しています。この結果からは、年齢が上がるほど笑いの表現に無頓着になるというより、幅広い世代が相手との関係性を意識して言葉を選んでいる実態が見えてきます。こうした使い分け意識の延長線上に、「草」を使うかどうかという選択もあると考えられます。

「もう古い」と感じる人と、まだ使う人の分かれ目

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同じ「草」という言葉に対して、「古い」と感じる人と「今でも普通に使う」と感じる人が共存しているのが現状です。

「おじさん言葉」化という見方

一部の解説記事では、現在「草」を使い続けている層は40代から50代が中心になりつつあり、ネットカルチャーに親しんだ世代の名残として扱われる傾向があると指摘されています。なんJを通じて「草」が広まったのがおおよそ2010年代前半であることを踏まえると、当時10代後半から20代でこの言葉に触れた層が、そのまま使い続けて年齢を重ねたという見方には一定の筋があります。言葉そのものは変わっていなくても、使っている人の年齢層が時間とともに上に移動していく現象は、ネットスラングに限らず流行語全般に見られる動きです。

入れ替わる「笑いの記号」

その一方で、10代から20代前半の世代でも「草」や「わろた」といった表現は完全には廃れておらず、絵文字やGIF、リアクションスタンプと組み合わせて使われる場面が見られます。つまり「草」を使うかどうかより、「草」を単独の主役として使うか、他の表現と組み合わせた一要素として使うかという温度差が、世代間の違いとして表れていると考えられます。文字を打つ手間と、スタンプ一つで感情を伝える手軽さを比べたとき、若い世代ほど後者を選ぶ場面が増えているとも言えます。

「草」に代わって伸びている表現

言葉そのものよりも、スタンプやリアクション機能で感情を伝える手段が増えたことも、「草」の存在感が相対的に薄まった背景にあります。LINEやInstagramのリアクション機能、GIFスタンプのように、文字を打たずに笑いを示せる手段が普及したことで、わざわざ「草」と入力する行為自体の頻度が減っている側面があるとみられます。

同じランキングに並ぶ言葉たちのプロフィール

このランキングのおもしろさは、言葉が生まれた時代がまったく違う点にあります。1位の「ぴえん」は2018年11月頃から女子中高生の間で使われ始め、2019年には「JC・JK流行語大賞」のコトバ部門で1位を獲得、2020年頃には辞書にも採録されるほど一般化した言葉です。2位の「まじ卍」は2016年頃に爆発的に広まり、2017年の「JC・JK流行語大賞」に入選した表現で、「まじ」の語感に「卍」という記号を組み合わせた、語呂の良さから生まれたとされています。一方で3位と4位の「チョベリグ」「チョベリバ」は、1990年代半ばにコギャルの間で使われ始め、1996年には流行語大賞のトップテンに入賞、木村拓哉と山口智子が主演したドラマ「ロングバケーション」での使用をきっかけに全国へ広まった言葉です。

つまりこのランキングには、約30年前に生まれた「チョベリグ」「チョベリバ」から、10年前後の「草」や「まじ卍」、さらに新しい「ぴえん」まで、世代をまたいだ言葉が並んでいます。生まれた時期がどれだけ違っても「もう古い」と感じられる点では同じ扱いを受けている。言葉の新しさと「古さの感じ方」は、必ずしも比例しないようです。話題になった言葉ほど早く消費され尽くす傾向がある一方で、一度も大きく話題にならずに静かに使われ続けている言葉の方が、案外長生きするという見方も成り立ちます。

流行語の寿命はなぜ短くなっているのか

草はもう古いと言われる理由と、SNSでの実際の使われ方を徹底解説

流行語の広まり方は、テレビなどのマスメディア主導型から、SNSで一気に拡散されるSNS拡散型へと変化しました。拡散のスピードが上がった分、流行する、広まる、定着する、古くなるというサイクルが数ヶ月単位で回るようになったとも指摘されています。

消費される言葉という性質

若者言葉は保存して使い続けるものというより、その時々で消費されるものだという指摘もあります。広告やコンテンツの企画から公開までにかかる時間が、若者言葉の実質的な寿命とほぼ同じ長さになっているという見方は、言葉の流行を扱う現場の難しさを端的に表しています。企業が若者言葉を広告に取り入れようとした頃には、すでにその言葉が古いと見なされ始めているというすれ違いは、珍しい話ではありません。なんJ発祥から十年以上経った今も「草」が一定の使用率を保っているのは、流行語としては例外的な粘り強さを持っているからだとも考えられます。

「草」についてよく聞かれる疑問

草はもう古いと言われる理由と、SNSでの実際の使われ方を徹底解説

なぜ「笑」ではなく「草」という字が選ばれたのか

「(笑)」の省略形である「w」が連続して並んだときの見た目が、地面から生えた草のように見えることがきっかけです。言葉の意味そのものに由来するというより、文字が画面上でどう見えるかという視覚的な連想から生まれた表現である点が、他の多くのスラングとは異なる特徴です。

「草」と「わら」はどう違うのか

「わら」は「(笑)」や「w」をひらがなで表記したもので、「草」より柔らかい印象を与えるとされています。使う場面やキャラクター付けによって選び分けられている表現で、「草」のような視覚的な連想とは違い、音としての柔らかさを重視した言い換えという位置づけです。

「大草原」や「草生える」はまだ使われているのか

笑いの大きさを段階的に表す「小草」「草生える」「大草原」「大草原不可避」といった表現は、「草」そのものの流行の勢いが落ち着いた後も、ネットミームやコメント文化の中で見かける機会が残っています。単発の流行語というより、「笑いの強さを描き分ける語彙のセット」として定着した結果、土台となる「草」が多少古く見られるようになっても、派生表現がまとめて消えることはなく、文脈によって選ばれ続けているのが現状です。

結局、「草」は今も使っていい言葉なのか

ここまでの内容を踏まえると、「草」が完全な死語になったとは言えないものの、使う場面や相手によって受け取られ方が変わる言葉になっていることは確かです。友人同士のカジュアルなやり取りであれば今でも違和感なく使われますが、年齢の離れた相手や、改まった場でのテキストコミュニケーションでは、「笑」といった表現の方が無難に受け取られやすいと考えられます。言葉が古いかどうかを一つの正解で決めるよりも、誰と、どんな場面で使うかという視点で選ぶことが、「草」のような長く使われ続けているネットスラングと付き合ううえで現実的な基準になりそうです。

高校生アンケートの8位という結果だけを切り取れば「草はもう古い」という見出しになりますが、同じ結果を大学生調査やキューモニターの世代別データと重ねて見ると、実際には「新鮮さを失いながらも、使い分けの対象として生き残っている言葉」という、もう少し複雑な実像が浮かび上がってきます。単純な「古い」「新しい」では測れない、言葉の寿命の実際。

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参考

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-偏愛が気づかせる、私たちの見えていなかった世界-

なぜだか目が離せない。
偏った愛とその持ち主は、不思議な引力を持つものです。
“偏”に対して真っ直ぐに、“愛”を注ぐからこそ持ち得た独自の眼差し。
そんな偏愛者の主観に満ちたピントから覗かれる世界には、
ウィットに富んだ思いがけない驚きが広がります。
なんだかわからず面白い。「そういうことか」とピンとくる。

偏愛のミカタ PinTo Times