【必殺技完全ガイド】かっこいい名前の法則から最強ランキング、オリジナルの作り方まで網羅

少年時代、誰もいない帰り道や風呂場の鏡の前で、架空のエネルギーを掌に溜めた経験はありませんか? 傘を聖剣に見立てたり、右手に封印された闇の力を解放するようなポーズをとってみたり……。その瞬間、私たちの口をついて出るのは、日常では決して使わない荘厳かつ破壊的な言葉――そう、「必殺技」の名前です。

アニメ、漫画、ゲーム、そして特撮。日本のポップカルチャーにおいて、「必殺技」は単なる攻撃手段の枠を大きく超えています。それはキャラクターのアイデンティティの結晶であり、物語のカタルシスを決定づける「儀式」であり、視聴者の魂を震わせる「言霊(ことだま)」でもあります。邪王炎殺黒龍波、かめはめ波、アバンストラッシュ……。これらの響きは、特定の世代にとっては共通言語であり、聞くだけで血が沸き立つ最強の呪文として機能しますよね。

冷静な大人の視点で見れば、攻撃の瞬間に技名を叫ぶ行為は非合理的に思えるかもしれません。「これからこれを撃ちますよ」と敵に宣言しているようなものですから。奇襲のメリットを捨ててまで、なぜフィクションの世界では技名が叫ばれ、私たちはそれに熱狂してしまうのでしょうか。そこには深い文化的背景と心理的な理由、そしてエンターテインメントとしての緻密な計算が存在するんです。

本記事では、「必殺技」の背後に広がる深淵なる世界を徹底的に解剖していきます。

言葉の歴史的変遷から、脳髄を刺激するネーミングの法則、国民的知名度を誇る技のランキング分析、そしてクリエイター向けのオリジナル必殺技作成論からビジネス応用まで。

これは単なる解説記事ではありません。あなたの眠れる魂(ソウル)を覚醒させ、明日からの創作活動やプレゼンテーションに「必殺」の一撃を加えるための、究極の魔導書(グリモワール)なのです。

目次

そもそも「必殺技」とは? 意外な意味と歴史の変遷

現代において「必殺技」という言葉は、アニメやゲームの代名詞として定着していますが、その概念は時代とともに大きく変容してきました。そのルーツを探り、なぜ日本においてこれほど特異な発展を遂げたのかを紐解いていきましょう。

「必殺」の矛盾とパラドックス

字義通りに解釈すれば、「必殺技」とは「必ず殺す技」のことです。文字通り、相手の命を奪うための絶技を指すはずですよね。しかし、現代の少年漫画やアニメを見渡せば、必殺技を受けても敵が立ち上がってくることは日常茶飯事ですし、主人公たちもまた、敵の必殺技を何度も受け止めながら逆転勝利を収めます。

ここに「必殺技」という言葉の現代的なパラドックスがあります。実際の物語における「必殺技」は、殺害を目的とした技術というよりも、以下のようなニュアンスを含んだ概念へと進化しているんです。

  • 逆転の切り札(Trump Card): 窮地を脱し、戦況を一変させるための起死回生の一撃。
  • アイデンティティの証明(Signature Move): そのキャラクターの属性、流派、性格、あるいは生き様を象徴する固有のアクション。
  • 儀式的な様式美(Ritual): 特定の構え、溜め、口上、エフェクトを経て発動される、「決め」の美学。

特撮ヒーロー番組『ウルトラマン』のスペシウム光線や『仮面ライダー』のライダーキックに代表されるように、かつては怪人を爆散させる「フィニッシャー(止めの一撃)」としての役割が強かったと言えます。しかし時代が下るにつれ、敵を浄化・改心させる技(『ウルトラマンコスモス』のフルムーンレクトなど)や、単に高威力のコンボ攻撃も広義の必殺技に含まれるようになり、その定義は多様化しています。

講談、時代劇からプロレスへの継承

「必殺技」という概念の文化的ルーツは、明治時代の講談に登場する「忍術(猿飛の術など)」や、時代劇小説における剣豪たちの「必殺剣」に見出すことができます。特に、柴田錬三郎の小説『眠狂四郎』シリーズに登場する「円月殺法」は、実在しない架空の剣技に美学的な名称を与えた例として、後のフィクションにおける必殺技の祖型の一つと言えるでしょう。

そして、この概念を大衆娯楽として爆発的に普及させた最大の功労者は、間違いなく昭和のプロレスです。

力道山の「空手チョップ」、ジャイアント馬場の「十六文キック」、アントニオ猪木の「卍固め」や「延髄斬り」。これらは実況アナウンサーによって「出た! 必殺の○○!」と絶叫され、レスラーの個性を決定づける看板となりました。プロレスにおける必殺技は、試合のクライマックス(フィニッシュ・ホールド)を演出する装置であり、観客もまた、その技が出る瞬間を待ち望むという「お約束」の構造が確立されたわけです。

この構造は、そのまま『マジンガーZ』のロケットパンチや『キン肉マン』の超人プロレス、『キャプテン翼』の魔球へと受け継がれ、日本の少年文化における共通言語となっていきました。

技名を叫ぶ心理的理由:シャウト効果と演出論

なぜキャラクターは技名を叫ぶのでしょうか? 「不意打ちにならない」という野暮なツッコミを超えて、そこには合理的な理由が存在します。

メタ視点:視聴者へのガイドライン

作品外の理由としては、視聴者(特に子供たち)への配慮が大きいですね。複雑な光線やビームが飛び交う中で、「今、何が起きたのか」「どの技が使われたのか」を音声で補足説明する役割があります。また、商品展開(おもちゃやゲーム)において、技名は重要な商標となり得るため、連呼することでブランド認知を高める効果も無視できません。

リアリティ視点:科学的な「シャウト効果」

しかし、作品内のリアリティや人間生理学の観点からも、声を出すことには意味があるんです。スポーツ科学や武道の分野では、これを「シャウト効果」と呼びます。

  • 筋出力の増大(火事場の馬鹿力): 大きな声を出すことで腹圧が高まり、体幹が安定すると同時に、脳のリミッター(自衛本能による筋力抑制)が一瞬外れます。これにより、通常時よりも高い筋力を発揮できるのです。テニスのシャラポワ選手やハンマー投げの室伏広治選手がインパクトの瞬間に声を上げるのと原理は同じです。
  • 呼吸のコントロール: 技を放つ瞬間に強く息を吐く(叫ぶ)ことで、打撃のインパクトを最大化し、動作のリズムを整える効果があります。剣道の「気合」もこれに通じますね。
  • 自己暗示(プライミング効果): 技名を叫ぶことは、「自分は今、最強の技を放つ」という強烈な自己暗示となります。言葉によって意識を一点に集中させ、メンタルを戦闘モードの極致へと引き上げるスイッチの役割を果たします。

つまり、技名を叫ぶ行為は単なる演出ではなく、パフォーマンスを最大化するための「理にかなった行動」なのです。


中二病心をくすぐる! かっこいい必殺技のネーミング法則

優れた必殺技は、視覚効果もさることながら、名前の響きだけで読者を魅了します。ここでは、数多の名作から抽出した「かっこいい必殺技」のネーミング法則を体系化して解説しましょう。これらの法則をインストールすれば、あなたのネーミングセンスは劇的に向上するはずです。

【法則1】漢字+ルビ(当て字)の美学

日本の漫画文化が生んだ最大の発明の一つが、漢字に特殊なルビを振る「当て字」の技法です。意味を表す「表意文字(漢字)」と、響きや読みを表す「表音文字(ルビ)」を組み合わせることで、情報量を2倍にし、独特の世界観を構築します。

  • 邪王炎殺黒龍波(じゃおうえんさつこくりゅうは)
    • 出典:『幽☆遊☆白書』(飛影)
    • 解説:漢字のみの構成ですが、「邪」「炎」「殺」「黒」「龍」という、中二病マインドを刺激する"最強の漢字"が詰め込まれています。「これ以上かっこいい技名はない」と評されることも多い、伝説的なネーミングの金字塔ですね。
  • 虚式「茈」(きょしき むらさき)
    • 出典:『呪術廻戦』(五条悟)
    • 解説:シンプルな一文字の漢字に色の名前を当てています。しかし、一般的な「紫」ではなく、常用外の植物由来の漢字「茈」を使用することで、古風かつ知的な印象を与えています。最強キャラクターの底知れなさを演出する高度なテクニックです。

応用テクニック:意味と読みの乖離

「終焉の奏鳴曲」と書いて「フィナーレ・ソナタ」と読ませるように、漢字で技の「効果・現象」を説明し、ルビで「雰囲気・格好良さ」を担保する。この二重構造こそが、日本のラノベ・漫画文化の真骨頂と言えるでしょう。

【法則2】欧州言語の響き(ドイツ語・英語・ラテン語)

日本語にはない音韻構造を持つ外国語は、技名に「異世界感」や「強さ」を付与します。特にファンタジーやSF作品において、言語の選択はキャラクターの属性を決定づけます。

  • ドイツ語
    • 特徴:濁音や子音が多く、硬質でメカニカル、あるいは魔術的・軍事的な響きを持ちます。
    • 例:「クーゲルシュライバー(本来はボールペンだが武器に聞こえる)」「アウスレーゼ」。『BLEACH』のクインシー(滅却師)たちの技名はドイツ語を多用し、規律と冷徹さを演出しています。
  • 英語
    • 特徴:スタイリッシュで現代的。アメコミヒーロー的な明るさと力強さがあります。
    • 例:「スターバースト・ストリーム(『SAO』)」「ユナイテッド・ステイツ・オブ・スマッシュ(『ヒロアカ』)」。流星、一撃、国名など、スケールの大きさを直感的に伝えるのに適しています。
  • ラテン語
    • 特徴:古代、神聖、魔法、高貴。歴史の重みを感じさせます。
    • 例:「ティロ・フィナーレ(『まどか☆マギカ』)」。イタリア語由来ですがラテン語的な響きを持ち、魔法少女の華麗なフィニッシュに相応しい優雅さがあります。

【法則3】自然・元素・神話の引用

人間の力を超えた存在(神、自然現象、宇宙)の名前を借りることで、技の威力を絶対的なものとして印象づける法則です。

  • 神話体系の引用: オーディン、ゼウス、イザナギ、アマテラスなど。
    • 例:天照(アマテラス)(『NARUTO』)。視点から発火する消えない黒炎。日本神話の最高神の名を冠することで、「回避不可能な絶対的攻撃」という説得力を持たせています。
    • 例:雷の呼吸 漆ノ型 火雷神(ほのいかづちのかみ)(『鬼滅の刃』)。日本の雷神の名を用い、和風剣戟の鋭さと神速の恐ろしさを表現しています。
  • 天文・宇宙の引用: ギャラクシー、メテオ、ビッグバン、スーパーノヴァ。
    • 例:無量空処(むりょうくうしょ)(『呪術廻戦』)。仏教用語と宇宙的な無限を感じさせる言葉選びが融合。領域内に引きずり込まれた相手に無限の情報を流し込むという効果と、名前が持つ「空(くう)」のイメージが完璧にリンクしています。

【法則4】「言いたいだけ」の語呂の良さ

意味よりも「口に出した時の気持ちよさ(音韻的快感)」を優先するパターンです。リズム感、破裂音(パ・タ・カ行)、長音のバランスが重要視されます。

  • アバンストラッシュ(『ダイの大冒険』)
    • 「アバン(師匠の名)」+「ストラッシュ(Strike + Crashの造語)」。末尾の「シュ」という破裂音が、剣を振り抜く動作の爽快感とシンクロしています。
  • ガトリングガン
    • 「ガ・ガ・ガ」という濁音の連打が、機関銃のような連射攻撃のイメージを聴覚的に喚起します。

【ジャンル別】誰もが知っている! アニメ・漫画の有名な必殺技ランキング

ここでは、ネット上の投票データや文化的影響度を総合的に分析し、ジャンルごとの代表的な必殺技を独断と偏見でランキング化してみました。

国民的・王道バトル漫画の必殺技 BEST 5

これらはもはや一般教養と言っても過言ではない、日本のポップカルチャーを象徴する5選です。

順位技名使用者(作品名)解説・魅力
1かめはめ波孫悟空ほか
(ドラゴンボール)
知名度No.1。世界で最も真似された技。
由来はハワイのカメハメハ大王。作者の鳥山明先生が奥様の提案(「ばかばかしくて亀仙人らしい」)を採用した逸話は有名です。腰だめのポーズ、掌を合わせる動作、「か・め・は・め……」というタメから「波ーッ!」での解放。このリズムがエネルギー放出の身体感覚を見事に体現しています。
2アバンストラッシュダイ
(ダイの大冒険)
「逆手持ち」ブームの元祖。
剣を逆手に持って背負い、腰を落として振り抜く動作は、連載当時の子供たちの傘を何本も破壊した社会現象級の技でした。「アロー(A)」、「ブレイク(B)」という段階を経て完成版に至るドラマ性も高いです。
3霊丸(レイガン)浦飯幽助
(幽☆遊☆白書)
シンプル・イズ・ベスト。
指先から霊気を撃つという極めて単純な構図ですが、初期の「一日一発」という厳しい弾数制限が、ここぞという場面での緊張感とカタルシスを生みました。
4螺旋丸(らせんがん)うずまきナルト
(NARUTO)
努力と成長の象徴。
手の中にチャクラを乱回転させる球体。水風船やゴム風船を使った修行過程が詳細に描かれ、読者も一緒に習得した気分になれます。「風遁」などを加えて進化する拡張性の高さも魅力です。
5北斗百裂拳ケンシロウ
(北斗の拳)
様式美の極致。
「あたたたた!」という怪鳥音とともに無数の突きを放ち、時間差で敵が破裂します。「お前はもう死んでいる」という決め台詞とセットで完成する、元祖・処刑技です。

現代の「おしゃれ・スタイリッシュ」技名ランキング

近年のヒット作(『呪術廻戦』『ブルーロック』『文豪ストレイドッグス』など)では、漢字のセンスがより洗練され、文学的・詩的な技名が人気を博しています。

  • 二銃式直撃弾(ダイレクトシュート)(潔世一/ブルーロック)
    • サッカー漫画でありながら、武器(銃)の名前を冠することで、ストライカーのエゴイズムと攻撃性を表現しています。
  • 人間失格(太宰治/文豪ストレイドッグス)
    • 実在の文学作品名をそのまま異能力名にする知的センス。「異能力無効化」というジョーカー的な能力と、作品が持つ虚無感がマッチしています。
  • 領域展開「無量空処」(五条悟/呪術廻戦)
    • 「領域展開」という概念自体が発明。英語の "Domain Expansion" としても海外でミーム化しました。指をクロスさせる手印の動作がコスプレ映えし、SNSでの拡散力が極めて高いのが特徴です。
  • 榴弾砲着弾(ハウザーインパクト)(爆豪勝己/僕のヒーローアカデミア)
    • 軍事用語的な漢字とカタカナの組み合わせが、爆破系能力の荒々しさと火力の高さを強調しています。

スポーツ漫画なのに異次元? インパクト絶大の技

スポーツ漫画において、物理法則を無視(あるいは超越)した必殺技は、読者を驚かせつつも熱狂させるスパイスです。

  • ドライブシュート(『キャプテン翼』)
    • ボールが縦に急激に落ちるシュート。現実のサッカーでも「ドライブ回転」は存在しますが、漫画的な「壁を超えて落ちる」描写がサッカー少年の夢となりました。同作の「スカイラブハリケーン」などアクロバティックな合体技は、スポーツ漫画における必殺技の概念を決定づけたと言えます。
  • 手塚ゾーン(『テニスの王子様』)
    • 相手の打球が回転によって吸い寄せられ、一歩も動かずに全ての球を打ち返す技。「テニスプレイヤーが動かない」という逆転の発想と、圧倒的な実力差を視覚化した名演出です。この作品以降、スポーツ漫画は「異能バトル」の側面を強めていくことになります。

キン肉マンに見る「プロレス技」のネーミングセンス

『キン肉マン』の技名は、実在のプロレス技のリアリティと超人のファンタジーが融合しており、ネーミングの宝庫です。

  • 地獄の断頭台(悪魔将軍)
    • スピン・ダブルアーム・スープレックスからのギロチン・ドロップ。「断頭台」という不穏な単語が、悪のカリスマに相応しい絶望感を演出しています。シンプルですが殺傷力の高さが伝わる傑作です。
  • マッスル・スパーク(キン肉マン)
    • 「天」と「地」の2つの技が合わさる究極奥義。「スパーク(閃光)」という言葉が、一瞬の芸術的な美しさと、相手を殺さずに制する「不殺」の信念を表現しています。

創作活動に役立つ! オリジナルの必殺技の作り方

小説、漫画、TRPG、あるいは自分の妄想の中で、オリジナルの必殺技を作りたい。しかし、どうしても「パクリっぽくなる」「名前がダサい」と悩む人は多いでしょう。ここでは、論理的にかっこいい必殺技を構築するための「4ステップ・メソッド」を伝授します。これはプロの現場でも使われる思考法なんですよ。

【属性】と【触媒】を決める(What & How)

まずは技の「素材」を決めましょう。既存の属性を掛け合わせることで、独自性が生まれます。

  • 属性(エレメント):
    • 基本:火、水、風、雷、土。
    • 特殊:光、闇、氷、重力、時間、音、毒、空間、虚無。
    • ヒント: 「氷」×「炎」=「冷たい炎(フリージング・バーン)」のように、矛盾する属性を組み合わせると魔法的な深みが出ます。
  • 触媒(武器・媒体):
    • 王道:剣、銃、拳、杖、槍。
    • 身体:瞳(眼力)、血液、髪の毛、声(言霊)、骨。
    • 現代:コイン、カード、スマホ、文房具、楽器。
    • トレンド: 日用品や意外なものを武器にする(例:ヨーヨー、トランプ)と、現代的な異能バトル(アーバン・ファンタジー)感が出ます。

【効果】と【リスク(代償)】を設定する(Logic & Drama)

強力な技には、それ相応の理由(ロジック)が必要です。特に「リスク」の設定は、技のドラマ性を高める重要なスパイスとなります。『HUNTER×HUNTER』の「制約と誓約」の概念は、このロジックを極限まで高めた例ですね。

  • 効果の具体性:
    • 単に「大ダメージ」ではなく、「内部から破壊する」「相手の時間を奪う」「防御不可能だが弾速が遅い」「視界に入っている間だけ発動する」など、物理法則やルールに干渉する効果が面白いです。
  • リスク(制約と代償):
    • 反動型:使うと自分もダメージを受ける(例:腕が折れる、寿命が縮む、高熱が出る)。
    • 条件型:特定の条件(夜である、相手が名前を呼ぶ、血を流している、特定のポーズをとる)が揃わないと発動できない。
    • リソース型:1日1回しか使えない。チャージに10分かかる。高価な宝石を消費する。

Step 3: 【命名】の儀式(Naming)

ここで技に名前を与えます。以下のテンプレートを使って案を出してみましょう。

パターン構成案作成例ターゲット・ジャンル
A: 漢字直球型[形容詞]+[名詞]+[動作]絶影・空裂斬時代劇、和風ファンタジー、剣戟
B: ルビ凝り型[漢字の羅列]([カタカナ読み])終末の時計塔(クロックタワー・オブ・ドゥーム)ラノベ、中二病全開。ルビで意味を拡張する
C: 英語スタイリッシュ型[名詞]+[of]+[名詞]The End of GalaxySF、アメコミ風。シンプルかつリズム重視
D: 文章・詩的型[短い詩的なフレーズ]月夜を破る遠吠え(アンリイッシュ・ビースト)最近のソシャゲ、女性向け作品

Step 4: 【演出】(Effect)を書き込む

技は「見た目」が9割です。テキストや絵コンテで以下の要素を補強しましょう。

  • 予備動作(タメ): 空気が震える、周囲の音が消える、地面がひび割れる、瞳の色が変わる、呪文を詠唱する。
  • 発動時の音: キィィン(高音)、ドォォン(重低音)、あるいは「完全な静寂(無音)」。
  • 事後: 技の後、煙が晴れるとどうなっているか? 地形が変わっているか? 術者は立っているか、倒れているか?

現代社会でも使える? ビジネスマンの「必殺技」

ここまではフィクションの話をしてきましたが、現実のビジネスという戦場においても「必殺技」の概念は応用できます。もちろん、会議室で「エターナル・フォース・ブリザード!」と叫んではいけません(社会的死を招きます)。

しかし、ここぞという場面で状況を打開する「キラーフレーズ」や「マインドセット」は、まさに現代社会における必殺技と言えます。

言葉の必殺技:キラーフレーズとクロージング

商談やプレゼンの最後、相手の心を動かし、契約(勝利)を手にするための「決め台詞」を持っておくことは、武器を持つことと同義です。

「大義名分」の提示(全体魔法:バフ)

組織を動かすリーダーには、メンバーの視座を高める必殺の言葉が必要です。京セラ創業者の稲盛和夫氏が京都サンガF.C.再建時に用いた「市民の熱意を思い、地元企業として貢献することがあるべき姿」という言葉が良い例でしょう。「なぜ我々がこれをやるのか」という義(Mission)を語ることは、組織全体に強力なバフ(能力強化)をかける全体魔法です。目先の利益に囚われている反対派を、より大きな視座(社会貢献、未来)で説得し、味方につけることができます。

「歴史」の共有(召喚魔法)

過去の成功体験や創業の精神(歴史的英雄)を呼び起こします。曹貴裁監督が選手に見せた「19年前の初タイトル獲得時の映像」のように、「我々には勝つDNAがある」という記憶を召喚し、チームの士気を一気に高めます。これは心理学的なプライミング効果そのものですね。

クロージングの「二者択一」(精神操作系)

相手の思考を誘導する交渉術です。「やるかやらないか」ではなく、「Aプランで進めるか、Bプランで進めるか」を迫ります(ダブルバインド)。相手の脳内から「断る」という選択肢を消去させ、契約へと誘導する不可避の技と言えます。

行動の必殺技:一点突破の集中力

必殺技の本質は「エネルギーの凝縮と解放」にあります。ビジネスにおいても、リソース(時間、予算、人材)を分散させず、一点に集中させる戦略は「必殺」の威力を生みます。

ランチェスター戦略的必殺技

弱者が強者に勝つための局地戦です。特定のニッチな市場、特定の顧客層だけに全勢力を注ぎ込み、そこでNo.1を取る。…名前をつけるなら「一点突破・全面展開(ドミノ・ストラテジー)」でしょうか。あれもこれもと手を出すのではなく、「この分野なら誰にも負けない」という領域(必殺技)を作ることが、キャリア生存戦略において重要となります。

プレゼンにおける「タメ」と「解放」

スティーブ・ジョブズのプレゼンテーションがなぜ人を惹きつけたのか。それは彼が「必殺技の演出論」を完璧に理解していたからです。

  1. タメ(予備動作): 「今日は3つの革新的な製品を紹介します……」と観衆の期待を煽る。
  2. 詠唱(説明): 「iPod、電話、インターネット端末……」と繰り返し、緊張感を高める。
  3. 解放(インパクト): 「これらは別々の製品ではありません。ひとつの製品です」と言い放ち、実機を掲げる。
  4. 技名(命名): 「iPhone」というシンプルな名前をスクリーンに映し出す。

この構成は、まさにかめはめ波の「か・め・は・め……波ーッ!」の構造と同じですよね。プレゼンにおいては、情報の羅列ではなく、クライマックスに向けてエネルギーを溜め、最後に核心を解き放つ構成を意識することで、聴衆に「必殺の一撃」を与えることができるのです。


必殺技とは「魂の叫び」である

本記事では、必殺技の歴史からネーミング、ランキング、作り方、そしてビジネスへの応用までを網羅的に分析してきました。

「必殺技」とは、単に敵を倒すための便利なツールではありません。それはキャラクター(あるいは私たち自身)が、「自分は何者か」「何を成し遂げたいか」を世界に向かって宣言する行為そのものです。だからこそ、その名前は美しく、力強く、時に痛々しいほどに個性的でなければなりません。

  • 歴史: 「殺す技」から「魅せる技(アイデンティティ)」へと進化した。
  • ネーミング: 「漢字+ルビ」が最強のソリューション。意味と響きの二重構造を作る。
  • 創作: リスク(代償)を設定することで、技に物語(ドラマ)が生まれる。
  • ビジネス: 「大義名分」という全体魔法と、「一点突破」という物理攻撃を使い分ける。

さあ、記事を読み終えたあなたには、もう新しい必殺技を生み出す準備ができているはずです。創作の世界で、あるいは日々の仕事という戦場で、あなただけの「必殺技」を放ち、目の前の壁を粉砕してください。

その技の名は――。

参考

PinTo Times

  • x

-偏愛が気づかせる、私たちの見えていなかった世界-

なぜだか目が離せない。
偏った愛とその持ち主は、不思議な引力を持つものです。
“偏”に対して真っ直ぐに、“愛”を注ぐからこそ持ち得た独自の眼差し。
そんな偏愛者の主観に満ちたピントから覗かれる世界には、
ウィットに富んだ思いがけない驚きが広がります。
なんだかわからず面白い。「そういうことか」とピンとくる。

偏愛のミカタ PinTo Times