【保存版】夜空を見上げるのが楽しくなる!12星座とギリシャ神話のドラマチックな物語

ふと夜空を見上げたとき、「あの星にはどんな意味があるんだろう?」と考えたことはありませんか? 実は、私たちがよく知る「12星座」の向こう側には、古代ギリシャから語り継がれる濃厚な「神話」が隠されています。

そこにあるのは、単なる無機質な星の並びではありません。 神々のどうしようもない愛憎劇、英雄の悲劇、そして思わず「えっ、そこで?」とツッコミたくなるような失敗談まで、驚くほど人間味あふれるドラマが詰まっているのです。

この記事では、そんな各星座の「物語」と、実際の夜空で見つけるための観測ポイントをご紹介します。これを知れば、いつもの星空が壮大な劇場のスクリーンに見えてくるはずです。

目次

おひつじ座 (Aries):空を駆ける黄金の救世主

神話の物語:黄金の羊毛伝説

12星座のトップバッターを飾るのは、全身が黄金の毛で覆われた「空飛ぶ羊」です。 ある時、継母の策略によって生贄にされそうになった王子プリクソスと妹ヘレ。絶体絶命のピンチに、大神ゼウス(一説にはヘルメス)が遣わしたのがこの羊でした。

羊は二人を背に乗せると、猛スピードで空へ! しかし、あまりの速さに妹ヘレは海へ落下してしまいます…。なんとか逃げ延びた兄の王子は、感謝の証としてこの羊をゼウスに捧げました。 この羊が残した「黄金の羊毛(ゴールデン・フリース)」は、後に多くの英雄たちが命がけで探し求める伝説の秘宝として語り継がれることになります。

星空観賞ガイド

  • 見頃: 12月〜1月(冬)
  • 見つけ方: アンドロメダ座の南、うお座の上に位置しています。「へ」の字型に並んだ3つの星が目印。
  • 注目の星: ハマル(2等星)。アラビア語でズバリ「羊の頭」を意味します。かつて春分点がここにあったため、星座占いの始まりの場所とされています。

おうし座 (Taurus):恋に落ちた最高神の変身

神話の物語:神様だって恋をする

冬の夜空にキリッとV字型に輝くおうし座。その正体は、フェニキアの王女エウロパに一目惚れした、あの最高神ゼウスが変身した姿です。

ゼウスは警戒されないよう「真っ白で美しい牡牛」に姿を変えて彼女に近づきました。心を許したエウロパが背中に乗った瞬間、牛は猛ダッシュ! そのまま海を渡り、クレタ島まで彼女を連れ去ってしまったのです(今の感覚だと完全に誘拐ですが…)。 彼らがたどり着いた西の土地は、彼女の名前にちなんで「ヨーロッパ (Europe)」と呼ばれるようになりました。

星空観賞ガイド

  • 見頃: 1月〜2月(冬)
  • 見つけ方: オリオン座の三つ星から右上に視線を移すと、オレンジ色の1等星が見つかります。
  • 注目の星:
    • アルデバラン: 牛の赤く充血した右目にあたる1等星。「後に続くもの」という意味があります。
    • プレアデス星団(すばる): 牛の肩の部分で輝く美しい星の集まり。視力が良ければ肉眼でも6〜7個の星が見えます。
    • ヒアデス星団: 牛の顔の輪郭を作っているV字型の星団です。

ふたご座 (Gemini):死をも分かつ兄弟の絆

神話の物語:「僕の命を半分あげる」

カストルとポルックスは、誰もが羨む仲良しの双子兄弟。しかし、弟ポルックスが神の血を引く「不死身」だったのに対し、兄カストルは「人間」として死ぬ運命にありました。

戦場で兄が命を落とした時、弟は「自分も死んで兄のそばに行きたい」と父ゼウスに泣きつきます。しかし、不死ゆえに死ねない…。そんな息子の願いを聞き入れたゼウスは、弟の命を半分兄に分け与えることを許しました。 こうして二人は、1日の半分を天上で、もう半分を冥界で共に過ごす、永遠に離れない星座となったのです。

星空観賞ガイド

  • 見頃: 2月〜3月(冬〜春)
  • 見つけ方: オリオン座の北東に、明るい二つの星が仲良く並んでいます。
  • 注目の星:
    • ポルックス: 弟星(1等星)。オレンジ色に輝く、少し明るい星です。
    • カストル: 兄星(2等星)。こちらは白く静かに輝きます。日本では古くから「金星(きんぼし)・銀星(ぎんぼし)」と呼ばれ親しまれてきました。

かに座 (Cancer):友を想う小さき勇者

神話の物語:踏み潰された悲しき友情

12星座の中で一番地味と言われがちな「かに座」ですが、その物語はあまりに健気で泣かせます。 英雄ヘラクレスが多頭の怪物ヒュドラと戦っていた時のこと。ヒュドラの友人である化けガニ「カルキノス」は、友を助けようとヘラクレスの足元へ果敢に忍び寄りました。

必死にハサミで攻撃を仕掛けましたが、最強の英雄は気づきもしません。あえなく踏み潰されてしまったのです。 これを見ていた女神ヘラは、その勇気と仲間想いの心に感動し、彼を空に上げて星座にしました。

星空観賞ガイド

  • 見頃: 3月〜4月(春)
  • 見つけ方: ふたご座としし座の間にある、星のないポッカリと暗い場所を探してください。
  • 注目の星: プレセペ星団。カニの甲羅にある、肉眼でもぼんやりとした雲のように見える星団です。「飼い葉桶」という意味があり、かつては「人間の魂が地上に降りてくる門」だと信じられていました。

しし座 (Leo):英雄を苦しめた最強の野獣

神話の物語:武器が通じない怪物

春の夜空で王者の風格を放つしし座。モデルとなったのは、英雄ヘラクレスにとって最初の試練となった「ネメアの森の人食いライオン」です。

このライオン、なんと剣も矢も通さない鋼鉄の皮膚を持っていました。ヘラクレスは早々に武器を捨て、素手で三日三晩首を絞め続けてようやく退治したといいます。 死闘の末に敗れはしましたが、「最強の英雄をここまで苦しめた強さは見事」と称えられ、百獣の王として空の星となりました。

星空観賞ガイド

  • 見頃: 4月〜5月(春)
  • 見つけ方: 南の空に、ライオンが伏せた姿がはっきりと描かれています。頭部の「?」を裏返したような形は「ししの大鎌」と呼ばれます。
  • 注目の星:
    • レグルス: 胸元で輝く1等星。「小さな王」という意味を持ちます。
    • デネボラ: 尻尾にある2等星。春の大三角を構成する重要な星の一つです。

おとめ座 (Virgo):地上から正義が消えた日

神話の物語:神々が去った世界で

モデルは正義の女神アストライア(または農業の女神デーメーテール)。 かつて神と人が共に暮らしていた「黄金の時代」、やがて人々が争いを始めると、神々は愛想を尽かして次々と天へ去っていきました。しかし、アストライアだけは最後まで地上に留まり、正義を説き続けたのです。

けれど、人々がついに武器を作って殺し合いを始めると、彼女もついに絶望。「もうここでは暮らせない」と天へ昇り、おとめ座になったと言われています。

星空観賞ガイド

  • 見頃: 5月〜6月(春)
  • 見つけ方: 北斗七星の柄のカーブを南へそのまま伸ばした「春の大曲線」。その終点に輝いています。
  • 注目の星: スピカ(1等星)。女神が持つ「麦の穂」にあたる、青白く清らかな星です。日本では「真珠星」という美しい名前でも呼ばれます。

てんびん座 (Libra):善悪を計る天の道具

神話の物語:唯一の「生き物ではない」星座

12星座の中で唯一、生き物ではないのがてんびん座です。これは、お隣のおとめ座(正義の女神)が手に持っていた「正義の天秤」そのものです。

この天秤は人間の魂の善悪を計るためのもので、正義が行われていれば釣り合い、悪が行われると傾くとされました。 また、かつて昼と夜の長さが同じになる「秋分点」がこの星座にあったことから、「昼と夜を等しく計る」という意味も込められています。

星空観賞ガイド

  • 見頃: 6月〜7月(初夏)
  • 見つけ方: おとめ座のスピカと、さそり座のアンタレスの間。「く」の字を裏返したような控えめな星の並びです。
  • 豆知識: 元々はさそり座の「ハサミ」の部分でした。そのため、星の名前には「南の爪(ズベン・エル・ゲヌビ)」など、サソリ由来の名残があります。

さそり座 (Scorpius):オリオンを追う必殺の刺客

神話の物語:傲慢への神罰

夏の夜空に巨大なS字を描くさそり座は、神が放った最強の「暗殺者」です。 ことの発端は、狩人オリオンが「俺に倒せない獲物はいない」と傲慢に言い放ったこと。これに怒った女神ガイア(またはヘラ)が猛毒のサソリを放ち、一撃で彼を刺殺しました。

オリオンは死してなおこのサソリを恐れており、さそり座が東から昇ると、オリオン座は逃げるように西へ沈んでいきます。二つの星座が夜空で決して出会わないのは、こんな理由があるのです。

星空観賞ガイド

  • 見頃: 7月〜8月(夏)
  • 見つけ方: 南の地平線近くに、大きなS字カーブを探してください。釣り針のような形をしています。
  • 注目の星: アンタレス(1等星)。「火星(Ares)に対抗(Anti)するもの」という意味を持つ赤色超巨星です。その不気味なほどの赤さは、サソリの心臓として怪しく脈打っています。

いて座 (Sagittarius):傷ついた賢者の選択

神話の物語:死を望んだ不死身の賢者

モデルは半人半馬の賢者ケイローン。医学や武術に秀で、多くの英雄を育てた立派な先生でした。 しかしある日、弟子ヘラクレスが誤って放った毒矢が彼に命中してしまいます。不死身の彼は死ぬことさえできず、猛毒の激痛に永遠に苦しむことに…。

あまりの苦痛に耐えかねた彼は、不死の命を返上して「死ぬこと」を選びました。ゼウスはその死を惜しみ、彼を天に上げました。 彼が弓を構えているのは、隣のさそり座が暴れ出さないように常に見張っているためだと言われています。

星空観賞ガイド

  • 見頃: 8月〜9月(夏)
  • 見つけ方: 天の川が最も濃く明るい場所にあります。6つの星がひしゃく型に並んだ「南斗六星」が目印。
  • 注目ポイント: いて座の方向には、私たちの住む天の川銀河の中心(バルジ)があります。双眼鏡で見ると、まるで宝石箱のような星の密集を楽しめますよ。

やぎ座 (Capricornus):パニックが生んだ奇跡の姿

神話の物語:慌てすぎて変身失敗!?

やぎ座をよく見ると「頭がヤギ、体は魚」という妙な姿をしています。実はこれ、変身の失敗談なんです。 ある日、神々がナイル川で宴会をしていると、怪物テュポンが現れました。牧神パンは驚いて川へ飛び込みましたが、恐怖でパニック(Panic)に!

「魚にならなきゃ!」と焦るあまり、水に浸かった下半身だけが魚になり、上半身はヤギのまま…という中途半端な姿になってしまいました。 ゼウスはこの姿を大層面白がり、そのまま星座にしたと伝えられています。「パニック」という言葉の語源になったとも言われるエピソードです。

星空観賞ガイド

  • 見頃: 9月〜10月(秋)
  • 見つけ方: 南の空に、潰れた逆三角形(ブーメラン型)に星が並んでいます。
  • 豆知識: 実は紀元前3000年のバビロニア時代から「ヤギ魚」として描かれていた、非常に歴史の古い星座でもあります。

みずがめ座 (Aquarius):神に愛された美少年

神話の物語:天界のお酌係

モデルは「人間界で一番美しい」とされたトロイアの王子ガニメデ。 その美貌に目をつけたゼウスは、黒い鷲(わし座)に変身して彼を天界へさらってしまいます(またゼウスの誘拐です…)。

ガニメデはそこで永遠の若さを与えられ、神々の宴会でお酒(ネクタル)を注ぐ給仕係となりました。 みずがめ座が抱える瓶からは、こぼれ落ちた神聖な水が溢れ出し、下にある「みなみのうお座」の口へと注がれ続けています。

星空観賞ガイド

  • 見頃: 10月〜11月(秋)
  • 見つけ方: 秋の夜空には明るい星が少ないですが、瓶の口にあたる「三ツ矢」の形をした4つの星が目印になります。
  • 注目ポイント: 古代では、雨季の到来を告げる星座として農耕にとって重要な存在でした。

うお座 (Pisces):離れない親子のリボン

神話の物語:愛をつなぐ一本の紐

うお座は、2匹の魚がリボンで結ばれた姿をしています。 これもまた、やぎ座と同じく怪物テュポンから逃げる際のエピソード。美の女神アフロディーテとその子エロスは、魚に変身して川へ飛び込みました。

激流の中ではぐれてしまわないよう、お互いの尻尾をリボンで固く結び合ったのです。その強い親子の絆に感動したゼウスが、そのままの姿を星座にしたと言われています。

星空観賞ガイド

  • 見頃: 11月〜12月(秋〜冬)
  • 見つけ方: ペガスス座の四辺形の周りを、L字型(あるいはV字型)に取り囲むように星が並んでいます。
  • 注目ポイント: 現在、太陽が春分の日に位置する「春分点」は、このうお座の中にあります(かつてはおひつじ座にありました)。

今夜、物語を探しに行こう

いかがでしたか? 勇気あるライオンに、パニックで変身失敗したヤギ、硬い絆を結んだ魚たち。 星座の向こう側には、神様や英雄たちの人間臭いエピソードが広がっています。

次に夜空を見上げる時は、ぜひこれらの物語を思い出してみてください。ただの「光の点」だった星たちが、きっと生き生きとした表情であなたに語りかけてくるはずです。 さあ、今夜はどの物語を探しに行きましょうか?

参考

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-偏愛が気づかせる、私たちの見えていなかった世界-

なぜだか目が離せない。
偏った愛とその持ち主は、不思議な引力を持つものです。
“偏”に対して真っ直ぐに、“愛”を注ぐからこそ持ち得た独自の眼差し。
そんな偏愛者の主観に満ちたピントから覗かれる世界には、
ウィットに富んだ思いがけない驚きが広がります。
なんだかわからず面白い。「そういうことか」とピンとくる。

偏愛のミカタ PinTo Times