【徹底解説】なぜ日本のグミは世界一?ガムを抜いた理由と進化の秘密

この記事でわかること

  • 歴史の意外な真実: グミはもともと「お菓子」ではなく「噛むトレーニング器具」として生まれた。
  • 市場の逆転劇: なぜガムの人気が落ちて、グミが爆発的に売れるようになったのか?(スマホ・推し活・マスクの影響)
  • 日本のすごい技術: 「コロロ」や「マロッシュ」など、世界が驚く食感はどうやって作られているのか?
  • 心への効果: グミを噛むと「集中力」や「ストレス解消」に役立つ科学的な理由。

コンビニのお菓子売り場に行くと、以前とは全く違う光景が広がっていることに気づきませんか?

かつてレジ横の一等地を独占していたのは「ガム」や「アメ」でした。でも今は、壁一面がカラフルな「グミ」で埋め尽くされています。

キラキラした宝石のようなグミ、本物のフルーツみたいなグミ、そして「忍者めし」のような超ハードなグミ。

実は今、日本のグミは世界中から「ガラパゴス的進化」を遂げたと注目されているんです。

なぜ私たちはこれほどグミに夢中になるのでしょうか? この記事では、単なるお菓子の話にとどまらない、グミの奥深い世界を紐解いていきます。


グミの歴史:最初は「美味しいお菓子」じゃなかった!?

ドイツで生まれた理由は「子供の歯を守るため」

グミの歴史は約100年前、1920年代のドイツにさかのぼります。

世界的に有名な「ハリボー(HARIBO)」の創業者ハンス・リーゲル氏が開発したのですが、実はこれ、最初から「美味しいおやつ」として作られたわけではありませんでした。

当時のドイツでは、硬い食べ物が減ったことで子供たちの「噛む力(咀嚼力)」が弱くなり、歯の病気が増えていました。そこで、「子供のアゴを鍛えるトレーニング器具」として発明されたのがグミの始まりなのです。

だから、ドイツのグミはゴムのように硬く(ドイツ語でゴムは"Gummi")、美味しさ以前に「しっかり噛ませる」ことが目的だったんです。

日本への上陸と「オブラート」の工夫

日本に初めてグミが登場したのは1980年、明治製菓(現・明治)の「コーラアップ」です。

しかし、当時の技術では日本の高温多湿な夏に耐えられず、グミ同士がくっついてしまいました。そこで日本人が考えたのが、「オブラートで包む」というアイデアです。

子供の頃、透明なオブラートごと食べた記憶がある人もいるかもしれません。これは日本ならではの「気遣い」から生まれた工夫でした。

その後、1988年に「果汁グミ」が登場し、「子供のお菓子」から「フルーツ代わりのデザート」へと進化。日本人の好みに合わせた「弾力があるのに歯切れがいい」絶妙な食感が作られました。

【図解】日本のグミ進化年表

ここで、グミがどのように進化してきたのか、歴史的な流れを整理してみましょう。

年代出来事ポイント
1920年代ドイツでHARIBO誕生子供の「噛む力」を鍛えるために発明
1980年明治「コーラアップ」発売日本初のグミ。オブラート付きでの提供
1988年明治「果汁グミ」発売「果物の代わり」として大ヒット。第1次ブーム
2002年カンロ「ピュレグミ」発売「すっぱいパウダー」と「大人の女性」向けで市場拡大
2008年UHA味覚糖「忍者めし」発売「現代忍者(ビジネスマン)」向けハードグミの先駆け
2014年UHA味覚糖「コロロ」発売まるで本物の果実!技術革新が起きる
2014年カバヤ「タフグミ」発売男性向けの超ハード系が定着
2021年グミ市場 > ガム市場ついにガムを追い抜く(コロナ・SNSの影響)
現在第3次グミブーム推し活、機能性、海外展開など多様化

ガムvsグミ:ついに市場規模が逆転!その3つの理由

年表にもある通り、長年お口のお供といえばガムでしたが、2021年についにグミの市場規模がガムを追い抜きました。2023年には明治が「キシリッシュ」などのガム事業から撤退するというニュースも話題になりました。

なぜ、ここまで急激にグミが伸びたのでしょうか? 大きな理由は3つあります。

理由①:コロナ禍とマスク生活

ガムは「誰かと会う前の口臭ケア」として噛まれていましたが、マスク生活でその必要性が薄れました。また、テレワークが増え、駅の売店でガムを買う機会も減少。

一方でグミは、「手で触らずにポイっと口に入れられる」「ゴミが出ない」という手軽さが、衛生面を気にする時代にマッチしました。

理由②:スマホと「ながら食べ」

ガムは噛んだ後、紙に包んで捨てる手間があります。でも、グミなら飲み込めるのでゴミが出ません。

これは、「スマホを触りながら」「ゲームをしながら」食べるのに最適です。現代のデジタル生活において、グミは最強のパートナーになったのです。

理由③:推し活と「SNS映え」

グミは透明感があって色がきれいなので、写真を撮るとすごく「映え」ます。

自分の好きなアイドルやキャラの「推し色」のグミを並べてSNSにアップする「推し活」のアイテムとしても大人気に。地味な色の多いガムやチョコには真似できない、グミならではの強みです。


日本の技術が凄すぎる!「食感」の秘密

日本のグミが世界で評価されている最大の理由は、「変態的(褒め言葉)」とも言える食感へのこだわりです。メーカーは科学的なアプローチで新しい食感を生み出しています。

UHA味覚糖「コロロ」:ソーセージの技術を応用!?

まるで本物のブドウのように、皮が「プチッ」とはじける食感の「コロロ」。

実はこれ、ソーセージの皮(ケーシング)の技術を応用して作られているんです。

グミ液をコラーゲンの膜で包むことで、今まで不可能だった「水分たっぷりのジューシーな中身」を実現しました。お菓子の工場にソーセージの技術を持ち込むなんて、常識破りの発想です。

カンロ「マロッシュ」:グミなのか?マシュマロなのか?

食べていると「モチモチ」から「シュワシュワ」と溶けていく不思議な食感の「マロッシュ」。

これは「エアレーション(空気を混ぜる)」という技術で、グミとマシュマロの中間のような状態を作り出しています。

「食べているうちに食感が変わる」という体験自体を売りにした、新しいタイプのお菓子です。

日本語だからできる「オノマトペ」の魔法

「もちもち」「ぷにぷに」「パリッ」「しゃりもに」。

日本語には食感を表す言葉(オノマトペ)がたくさんあります。メーカーはこれらの言葉をヒントに、「この言葉に合う食感を作ろう!」と開発しているそうです。

日本人の繊細な舌と、豊かな言葉の文化が、グミのバリエーションを広げているんですね。


勉強やスポーツに!「噛むこと」の科学的効果

最近、「ハードグミ」を噛んでいる男子学生やビジネスマンをよく見かけませんか? 実はこれ、理にかなっているんです。

幸せホルモン「セロトニン」が出る

リズムよく噛む運動(咀嚼)をすると、脳内で「セロトニン」という物質が分泌されます。これは別名「幸せホルモン」とも呼ばれ、ストレスを減らしたり、精神を安定させたりする効果があります。

イライラした時に硬いグミを噛みちぎりたくなるのは、脳が本能的にストレス解消を求めているからかもしれません。

集中力アップと眠気覚まし

噛むことで脳への血流が増え、集中力が高まることもわかっています。

勉強中やeスポーツの最中にグミを食べるのは、単なるおやつタイムではなく、パフォーマンスを上げるための「エネルギーチャージ」と言えるでしょう。


おわりに

たかが100円ちょっとのお菓子ですが、その背景には「ドイツの歴史」「日本の技術」「現代社会の変化(スマホやコロナ)」「人間の本能(噛みたい欲求)」など、驚くほどたくさんの物語が詰まっています。

最近では、日本を訪れる外国人観光客がお土産にグミを大量買いする姿も珍しくありません。繊細な味と食感を持つ日本のグミは、アニメやゲームと同じくらい誇れる「日本のポップカルチャー」になっているのです。

次にコンビニに行ったら、ぜひパッケージの裏側や食感を表す言葉に注目して、グミを選んでみてください。その一粒には、世界を面白くする工夫がギュッと詰まっていますよ。

参考

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-偏愛が気づかせる、私たちの見えていなかった世界-

なぜだか目が離せない。
偏った愛とその持ち主は、不思議な引力を持つものです。
“偏”に対して真っ直ぐに、“愛”を注ぐからこそ持ち得た独自の眼差し。
そんな偏愛者の主観に満ちたピントから覗かれる世界には、
ウィットに富んだ思いがけない驚きが広がります。
なんだかわからず面白い。「そういうことか」とピンとくる。

偏愛のミカタ PinTo Times