世界の「じゃんけん」事情を完全網羅! 海外の掛け声・ルールから意外なルーツまで

この記事でわかること

  • 明日から使える! アメリカ・フランス・アジアなど世界各国の「掛け声」と「ルール」
  • 意外な真実! 「最初はグー」の生みの親や、日本のじゃんけんが世界標準になった理由
  • 話のネタに最適! 「象・人・アリ」など、石・紙・ハサミ以外のユニークな手の形
  • 負けず嫌い必見! 統計データと心理学に基づいた「じゃんけん必勝法」

日本でおなじみの「じゃんけん」。子供の遊びだと思っていませんか? 実は、世界中どこへ行っても、形を変えて愛されている「万国共通のコミュニケーションツール」なんです。

言葉が通じない海外旅行先で、ちょっとした決め事をしたり、現地の子供たちと仲良くなったりするのに、じゃんけんは最強の武器になります。でも、いきなり「じゃんけんぽん!」と言っても通じません。アメリカにはアメリカの、フランスにはフランスの流儀があるのです。

この記事では、明日から使える世界のユニークな掛け声やルール、そして「えっ、ナメクジ?」と驚くような意外なルーツまで、徹底的に解説します。これを読めば、あなたも「世界のじゃんけんマスター」になれるかもしれませんよ!


じゃんけんは日本発祥? 世界への広がりとルーツ

起源は中国の「虫拳」? それとも日本の「数拳」?

じゃんけんの歴史を辿ると、古代中国に行き着きます。漢の時代(紀元前200年頃)にあった「手勢令(しゅせいれい)」という酒席の遊びが起源だと言われています。これが江戸時代の日本に伝わり、長崎の貿易商や遊郭を通じて独自の進化を遂げました。

特にユニークなのが、日本で生まれた「虫拳(むしけん)」です。

  • 蛇(人差し指): 蛙を食べるので勝つ
  • 蛙(親指): ナメクジを食べるので勝つ
  • ナメクジ(小指): 蛇の毒を溶かす(と信じられていた)ので勝つ

この「三すくみ(AはBに強く、BはCに強く、CはAに強い)」という絶妙なバランス構造が、現代のじゃんけんの基礎になっています。

なぜ「石・紙・ハサミ」なのか

現在の「グー・チョキ・パー」のスタイル、つまり「石(Rock)・紙(Paper)・ハサミ(Scissors)」という組み合わせが確立されたのは、19世紀後半の日本だと言われています。

実は、アジアの多くの地域では「石」を包むのは「布」でした。しかし、日本から世界へ広まる過程、あるいは近代化の中で、西洋の人々にもわかりやすい「紙(Paper)」という言葉が採用され、20世紀初頭に「Japanese Game」として世界中に輸出されたのです。


【大陸別】世界のユニークなじゃんけん掛け声とルール

ここでは、世界各国のじゃんけんの違いが一目でわかるようにまとめました。旅行先ですぐに使えるよう、現地の発音に近いカタカナ表記も記載しています。

世界のじゃんけん比較一覧表

国・地域呼び名掛け声(読み方)特徴的なルール・手の形
アメリカ
(英語圏)
Rock-Paper-Scissors「ロック、ペーパー、シザーズ、シュート!」
(Rock, Paper, Scissors, shoot!)
「シュート」のタイミングで出すのが一般的。「1, 2, 3!」と言う場合も。
フランスPierre-Feuille-Ciseaux
(シフミ)
「シ・フ・ミ!」
(Chi-fou-mi!)
本来は「ピエール(石)・フイユ(葉)・シゾー(鋏)」だが、リズムの良い「シフミ」が人気。
インドネシアSuwitan
(スウィット)
「スウィット!」
(Suwit!)
親指(象)・人差し指(人)・小指(蟻)を使う独特なスタイル。
韓国Kai-Bai-Bo
(カイバイボ)
「カイ・バイ・ボ!」
(Gawi, Bawi, Bo!)
カイ=鋏、バイ=岩、ボ=布(風呂敷)。日本と非常によく似ている。
中国剪刀石頭布「ジエンドウ・シートウ・ブ!」
(Jiandao, Shitou, Bu!)
剪刀=ハサミ、石頭=石、布=布。リズムが独特。
南米(チリ等)Cachipún
(カチプン)
「カ・チ・プン!」
(Ca-chi-pun!)
日本語の「じゃんけんぽん」が変化したという説が有力。

アメリカ・英語圏:Rock-Paper-Scissors

アメリカでは「Roshambo(ロシャボ)」と呼ばれることもあります。

掛け声のタイミングが日本と少し違います。「Rock, Paper, Scissors」と言った後に一拍置いて「Shoot!」で出すスタイルや、「One, Two, Three!」で出すスタイルがあります。日本のように「ぽん!」で合わせるよりも、リズムに乗って出す感覚が強いですね。

フランス・ヨーロッパ圏:Pierre-Feuille-Ciseaux

フランス語での正式名称は「石・葉・鋏」ですが、子供たちの間では「Chi-fou-mi(シフミ)」という掛け声が大人気です。

驚くべきことに、この「シフミ」の語源は、日本語の「一二三(ひふみ)」だという説が有力なんです。遠いフランスの地で日本語のリズムが生きているなんて、ロマンチックですよね。

また、フランスの一部の地域では「井戸(Puits)」という最強の手が存在するローカルルールがあります。

※井戸(親指と人差し指で輪を作る): 石とハサミは井戸に落ちるので勝つ。紙(葉)には蓋をされるので負ける。これだと「石」を出すメリットがなくなってしまうので、公式戦では禁止されることが多いです。

インドネシア・東南アジア:象・人・アリの哲学

インドネシアのじゃんけん「Suwitan」は、使う指とキャラクターが全く異なります。

  • 親指 = 象(Gajah): 巨大な力で「人」を踏むので勝つ。
  • 人差し指 = 人(Orang): 知恵で「アリ」を倒すので勝つ。
  • 小指 = アリ(Semut): 小さいけれど「象」の耳に入って困らせるので勝つ。

「小さいアリが巨象を倒す」という、弱者が強者を制する逆転の発想が含まれており、アジア的な哲学を感じさせます。

その他(韓国、南米など)

韓国の「カイ・バイ・ボ」は、日常のあらゆる決定権を持つほど重要です。ランチの支払いから、ちょっとした雑用の押し付け合いまで、韓国ドラマでもよく見かける光景ですね。

南米のチリなどで使われる「カチプン」や、ペルーの「ヤンケンポ」は、日系移民の影響で日本語の「じゃんけんぽん」が現地化したものだと言われています。地球の裏側でも日本の言葉が通じるなんて、不思議な感覚ですね。


負けたらどうなる? 世界の「罰ゲーム」事情

平和的なものから、ちょっと過激なものまで

日本では「負けたら荷物持ち」などが一般的ですが、世界には独自の罰ゲーム文化があります。

  • 韓国:デコピン(Ddakbam)ドラマでもおなじみですが、韓国のデコピンはかなり本気です。「パチン!」といい音が鳴るまで練習する人もいるとか。
  • 欧米:手首叩き(Wrist slap)負けた人が腕を出し、勝った人が指2本で手首の内側をピシャリと叩く遊びがあります。これが結構痛いので、熱くなりすぎないように注意が必要です。

勝敗の決め方(1本勝負か、3回勝負か)

英語圏では「Best of three(3回勝負で2本先取)」が基本ルールとして定着しています。日本のように「1回で決める」ことは少なく、「三回勝負しようぜ!」と持ちかけられることが多いです。これは、まぐれ当たりを減らして実力を測りたいという合理的思考の表れかもしれません。


知っておきたい「じゃんけん」トリビア・Q&A

Q. 世界大会があるって本当?

A. 本当です!

カナダやアメリカ、イギリスなどを拠点に「World Rock Paper Scissors Association(世界じゃんけん協会)」が存在し、定期的に世界大会が開催されています。優勝賞金が出る大会もあり、参加者はサングラスをかけたり奇抜な衣装を着たりして、心理戦(ポーカーフェイス)を繰り広げます。運だけの勝負ではなく、立派な「マインドスポーツ」として扱われているのです。

Q. 海外で「最初はグー」は通じるの?

A. 基本的には通じません(が、日本の影響で知っている人も)。

実は「最初はグー」を発明したのは、ザ・ドリフターズの志村けんさんだと言われています。テレビ番組『8時だョ!全員集合』で、タイミングを合わせるために使い始めたのが全国に広まりました。

海外では「One, Two, Three!」とカウントするのが一般的ですが、日本のアニメ(NARUTOなど)の影響で、ルールの意味を知っている海外のファンも増えています。

Q. 数学的に最強の「手」は存在するの?

A. 統計的には「パー」が狙い目です。

世界じゃんけん協会のデータや心理学の研究によると、初心者の男性は、無意識に力が入って「グー(Rock)」を最初に出しやすいという傾向があります(約35%)。

つまり、最初の一手で「パー」を出せば、勝つ確率がほんの少し高くなるのです。

また、「勝った人は次も同じ手を出しやすく、負けた人は手を変える」という心理パターンも研究されています22。これを覚えておけば、勝率アップ間違いなしですね!


おわりに

たかがじゃんけん、されどじゃんけん。「石・紙・ハサミ」というシンプルなルールの中に、各国の歴史や文化、そして人間の心理が詰まっています。

言葉が通じなくても、拳一つあれば世界中の人と遊ぶことができます。

次の海外旅行や、留学生との交流の機会には、ぜひ現地の掛け声で「じゃんけん勝負」を挑んでみてください。きっと、言葉以上のコミュニケーションが生まれるはずですよ!

参考

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-偏愛が気づかせる、私たちの見えていなかった世界-

なぜだか目が離せない。
偏った愛とその持ち主は、不思議な引力を持つものです。
“偏”に対して真っ直ぐに、“愛”を注ぐからこそ持ち得た独自の眼差し。
そんな偏愛者の主観に満ちたピントから覗かれる世界には、
ウィットに富んだ思いがけない驚きが広がります。
なんだかわからず面白い。「そういうことか」とピンとくる。

偏愛のミカタ PinTo Times