暗号の解き方を基礎から徹底解説、シーザー暗号やヴィジュネル暗号の攻略法から世界の未解読暗号まで
暗号と聞くと、数学が得意な人だけが解けるものというイメージを持つ人が多いかもしれません。しかし実際には、暗号の多くは仕組みさえ知ってしまえば誰でも手順を追って解けるように作られています。謎解きイベントや脱出ゲームで登場する暗号も、歴史上実際に使われてきた古典的な暗号の考え方を応用したものがほとんどです。この記事では、代表的な暗号の解き方の仕組みから、実際に人類が挑んできた有名な暗号解読の物語、そして謎解きの現場で役立つ実践的なコツまで、暗号の解き方を基礎からまとめて紹介します。
- 1. 暗号の解き方に挑戦する前に知っておきたい基本の考え方
- 1.1. 暗号と符号の違いも押さえておく
- 2. シーザー暗号の解き方、アルファベットを一定数ずらすだけの仕組み
- 3. 単一換字式暗号の解き方、頻度分析で文字の対応を突き止めるコツ
- 4. ヴィジュネル暗号の解き方、周期を見つけてシーザー暗号に分解する
- 5. モールス信号の仕組みと読み方の基本
- 6. 歴史に残る暗号解読の物語、エニグマからゾディアックキラーまで
- 6.1. 第二次世界大戦を変えたエニグマの解読
- 6.2. 51年の時を経て解かれたゾディアックキラーの暗号
- 6.3. 今も解けていないクリプトスの最後の一面
- 7. 謎解きイベントや脱出ゲームで暗号を解くための実践的なコツ
- 8. 暗号解読を趣味として楽しむためのヒント
- 9. 参考
暗号の解き方に挑戦する前に知っておきたい基本の考え方

暗号を解読する方法は数多くありますが、根本にある考え方は大きく二つに分けられます。一つは総当たり、もう一つは頻度分析です。
総当たりは、暗号を作る際に使われた鍵の候補をすべて試してしまうという単純な方法です。鍵のパターンが少ない暗号であれば、力技でも十分に解読できてしまいます。もう一つの頻度分析は、使われている言語の文字や単語の出現しやすさという統計的な癖を利用する方法です。どの言語にも、よく使われる文字とあまり使われない文字の偏りがあり、この偏りを手掛かりにすることで、置き換えられた文字の正体を一つずつ突き止めていくことができます。
この二つの考え方を頭に入れておくと、これから紹介する個々の暗号の解き方も、単なる暗記ではなく仕組みとして理解しやすくなります。
暗号と符号の違いも押さえておく
暗号と混同されやすいものにモールス信号のような符号があります。符号は情報を別の記号に変換して伝える手段であり、変換のルールが公開されていて誰でも読めることが前提です。一方で暗号は、鍵を知らない第三者には読めないようにすることを目的にしている点が異なります。この記事では、狭い意味での暗号に加えて、暗号と近い場所で語られることが多いモールス信号についても解き方の基本を取り上げます。
シーザー暗号の解き方、アルファベットを一定数ずらすだけの仕組み
シーザー暗号は、古代ローマの指導者ガイウス・ユリウス・カエサルが使っていたと伝えられる、暗号の中でもとりわけ有名な方式です。仕組みは非常にシンプルで、アルファベットを決まった数だけずらして別の文字に置き換えるというものです。
例えば「3文字ずらす」という鍵を決めた場合、Aの代わりにD、Bの代わりにEというように置き換えていきます。平文がHELLOであれば、暗号文はKHOORになります。アルファベットの最後のZまで到達したら、また先頭のAに戻って数え続けるのがポイントです。
この暗号の解き方は非常に単純です。アルファベットのずらし方は26通りしかないため、すべてのずらし方を順番に試していけば、いずれ意味の通る文章にたどり着きます。総当たりだけで解けてしまうという弱点があるため、現代のセキュリティ用途としてはほとんど使われていませんが、暗号解読の第一歩を学ぶ教材としては今でも広く使われています。
単一換字式暗号の解き方、頻度分析で文字の対応を突き止めるコツ

シーザー暗号は「決まった数だけずらす」という規則性がありましたが、文字ごとにばらばらの規則で別の文字に置き換える方式を単一換字式暗号と呼びます。この場合、置き換えのパターンは膨大な数になるため、総当たりで解読するのは現実的ではありません。そこで役立つのが頻度分析です。
英語の文章では、Eという文字が他のどの文字よりも高い頻度で登場することが知られています。日本語であれば、助詞の「の」や「て」のように、文章の中で繰り返し登場しやすい文字があります。暗号文の中で最も頻繁に出てくる記号や文字を、平文で最も出現しやすい文字に対応するものと仮定し、そこから二番目に多い文字、三番目に多い文字と順番に対応関係を絞り込んでいくのが基本の手順です。
この方法は、暗号文が短いとうまく機能しにくいという特徴があります。文章が長ければ長いほど文字の出現頻度の偏りがはっきりと表れるため、解読の精度も上がっていきます。謎解きイベントで換字式の暗号が出題された際も、まずは登場回数の多い記号に注目してみることが攻略の糸口になります。
ヴィジュネル暗号の解き方、周期を見つけてシーザー暗号に分解する

単一換字式暗号は頻度分析によって解かれてしまうという弱点がありました。この弱点を克服するために考案されたのがヴィジュネル暗号です。フランスの外交官ブレーズ・ド・ヴィジュネルが考案したとされ、16世紀の書物で紹介されたと伝えられています。
ヴィジュネル暗号では、キーワードとなる単語を鍵として使い、平文の文字ごとに異なるシフト数で置き換えていきます。同じ文字であっても、鍵の位置によって異なる文字に変換されるため、単純な頻度分析では崩すことができません。平文がキーワードよりも長い場合は、キーワードを繰り返し当てはめて対応させます。
この暗号の解き方として知られているのが、暗号文中に繰り返し現れるパターンを探し出す方法です。同じ単語が暗号文中の異なる位置で暗号化されたとき、鍵の周期と平文の繰り返しのタイミングが偶然一致すると、暗号文にも同じ並びの文字列が出現することがあります。この繰り返しの間隔を調べることで鍵の長さを推測でき、鍵の長さが分かれば、その周期ごとに暗号文を分割することで、それぞれがシーザー暗号と同じ構造になります。あとはシーザー暗号と同じように頻度分析や総当たりを組み合わせて、一つずつ解いていくことができます。
長く「解読不可能」と呼ばれていたヴィジュネル暗号ですが、19世紀にはこの周期性を利用した解読方法が確立され、絶対的な安全性を持つ暗号ではないことが証明されました。
モールス信号の仕組みと読み方の基本

厳密には暗号ではありませんが、暗号と並んで謎解きに頻出するのがモールス信号です。1837年にアメリカのサミュエル・モールスが考案したとされ、電気信号を使って情報を遠くまで伝える手段として発展しました。短い信号と長い信号の組み合わせだけで、アルファベットや数字を表現できるのが特徴です。
短い信号は「トン」、長い信号は「ツー」と読まれ、この組み合わせのパターンによって一文字ずつが決まっています。最も有名なのは、遭難信号として知られるSOSで、短い信号三回、長い信号三回、短い信号三回という単純なリズムで構成されています。
モールス信号を覚えるコツとしては、符号の形をそのまま暗記しようとするのではなく、音のリズムとして耳から覚える方法や、特定の単語の語感と結びつけて覚える語呂合わせの方法がよく使われています。謎解きの現場でモールス信号らしき点と線の並びを見つけたときは、まず短い記号と長い記号を書き出し、対応表と照らし合わせながら一文字ずつ変換していくのが基本の手順です。
歴史に残る暗号解読の物語、エニグマからゾディアックキラーまで

暗号の解き方を学んだところで、実際に人類がどのような暗号に挑み、どう解いてきたのかを見ていきましょう。
第二次世界大戦を変えたエニグマの解読
エニグマは、第二次世界大戦中にドイツ軍が使用していた暗号機です。複数のローターと呼ばれる部品が組み込まれており、一文字を入力するたびにローターが回転して異なる文字が出力される仕組みになっていました。設定の組み合わせが膨大であったため、当時は解読が不可能とまで言われていました。
この暗号に挑んだのが、イギリスの数学者アラン・チューリングです。チューリングは、傍受した暗号文の一部に「この部分にはこの単語が入っているはずだ」という推測を当てはめ、電気的な仕組みを使って矛盾する設定を高速に除外していく解読機を設計しました。これにより、それまで数週間かかっていた解読作業を大幅に短縮することに成功したと伝えられています。エニグマの解読は、戦争の行方だけでなく、その後のコンピューター科学の発展にも大きな影響を与えた出来事として語り継がれています。
51年の時を経て解かれたゾディアックキラーの暗号
1960年代のアメリカで発生した未解決の連続殺人事件、ゾディアック事件でも暗号が登場します。犯人を名乗る人物が新聞社に送りつけた、記号を組み合わせた340個の暗号文はZ340と呼ばれ、長年にわたって解読不能とされてきました。
この暗号は2020年12月、アメリカ、オーストラリア、ベルギーの有志によって、事件発生から51年の時を経てついに解読されたと報じられました。解読された文面には犯人の正体につながる新しい手がかりは含まれていなかったとされていますが、専門家だけでなく世界中の暗号愛好家が長年挑み続けてきた末の解読は、大きなニュースとして取り上げられました。
今も解けていないクリプトスの最後の一面
アメリカ中央情報局、CIAの本部敷地内には、クリプトスと呼ばれる暗号彫刻が設置されています。芸術家ジム・サンボーンによって制作され、1990年に完成しました。彫刻には四つの面に分かれた暗号文が刻まれており、これまでに三つの面は解読されています。
残る一つの面は、完成から30年以上が経過した現在も未解読のままです。制作者本人が節目の年にヒントとして数文字を公開したこともありましたが、全体の解読には至っていません。世界的に知られた暗号研究者たちも挑み続けている、現代における未解決の暗号の代表例です。
| 暗号 | 時代・分野 | 解読の状況 |
|---|---|---|
| エニグマ | 第二次世界大戦のドイツ軍暗号機 | 戦時中に解読され、戦況にも影響を与えた |
| ゾディアックキラーのZ340 | 1969年の未解決事件の暗号文 | 2020年、51年を経て有志により解読 |
| クリプトス | CIA本部の暗号彫刻 | 四面のうち三面が解読済み、最後の一面は未解読 |
謎解きイベントや脱出ゲームで暗号を解くための実践的なコツ

歴史上の暗号と違い、謎解きイベントや脱出ゲームに登場する暗号は、参加者が制限時間内に解けるように作られています。ここでは実際の会場で役立つ考え方を紹介します。
まず大切なのは、目の前の記号や数字を「何かに置き換えられたもの」として疑ってみることです。数字の並びであれば、電話のダイヤル配列や五十音表の行と段に対応している可能性があります。記号の並びであれば、アルファベットの形を変形させたものや、方向を表す矢印になっている可能性もあります。特定のパターンだけにこだわらず、複数の変換ルールを試してみる姿勢が突破口につながります。
次に有効なのが、問題文や会場に置かれた他の情報との関連を探すことです。暗号単体では意味を持たなくても、別の場所にあるヒントと組み合わせることで初めて解読できるように設計されている謎解きは少なくありません。行き詰まったときほど、一度周囲を見渡して見落としている情報がないか確認することが大切です。
チームで挑戦する場合は、役割分担も効果を発揮します。暗号の変換ルールを探す担当と、実際に文字を当てはめていく担当を分けるだけでも作業効率は大きく変わります。また、一つの思い込みに固執してしまうと視野が狭くなりやすいため、行き詰まったら一度その仮説を離れて別の角度から見直してみることも、暗号解読の意外な近道になります。
暗号解読を趣味として楽しむためのヒント

暗号の解き方は、シーザー暗号のような単純な仕組みから、ヴィジュネル暗号のように周期性を利用した高度な仕組みまで、段階を追って発展してきました。それぞれの解き方には共通して、総当たりと頻度分析という基本の考え方が根底に流れています。この基本さえ押さえておけば、初めて見る暗号に出会ったときでも、どこから手をつければよいかの見当がつけやすくなります。
エニグマやゾディアックキラーの暗号、クリプトスのように、長い年月をかけて挑戦者たちが解読に挑んできた実例を知ることも、暗号という分野の奥深さを味わう手がかりになります。謎解きイベントや脱出ゲームで暗号に出会った際は、この記事で紹介した基本の考え方を思い出しながら、記号の向こう側に隠された意味を探してみてください。
参考
- シーザー暗号とは?Pythonを使った解き方と暗号化・復号化プログラムを解説
- 単一換字式暗号とは?
- 【暗号技術入門】単一換字暗号と頻度分析
- チャールズ・バベッジとは?ヴィジュネル暗号を解読するコンピュータの父
- ヴィジュネル暗号 簡単な作成と解析
- モールス信号の覚え方
- モールス信号はいつ、だれが作った?その起源とヒミツ
- エニグマ暗号解読の鍵は?ドイツ・ナチス最強の暗号を破ったダイバーシティ
- 【エニグマ解読】天才アラン・チューリングが挑んだ「隠す側vs暴く側」の2500年知恵比べ
- 連続殺人鬼ゾディアック・キラーが残した暗号文が51年越しに解読
- 米連続殺人犯「ゾディアック・キラー」の暗号、50年以上経て解読
- 20年間未解読のCIA暗号彫刻、作者がヒント発表
- 【ミステリー】クリプトスの暗号、CIA本部に立つ、解けない彫刻
- 謎解き初心者へ 謎解きのコツ講座
- 謎解き問題を解くコツ、解き方のパターンを解説(初心者向け)





