【完全版】歴史に名を刻んだ実在の海賊一覧!伝説の人物から女海賊・日本の水軍まで徹底解説

目次

海賊の「黄金時代」とは?

フィクションの世界では、自由を求めて海を駆け、莫大な財宝を探し求める魅力的な存在として描かれる海賊たち。しかし、現実の歴史に存在した彼らもまた、事実に裏打ちされた数奇な運命を生きていました。この記事では、世界史や日本史における有名な実在の海賊を一覧で整理し、彼らがどのような時代背景のもとで躍動したのかを紹介します。

海賊が最も活躍した時代と背景

海賊たちが歴史の表舞台で最も活躍したのは、主に1660年代から1730年代にかけての期間です。この時代は「海賊の黄金時代」と呼ばれています。

舞台となったのは、新大陸の富が集中するカリブ海や大西洋。ハイチのトルトゥーガ島、ジャマイカのポート・ロイヤル、そしてバハマのナッソーといった港町は、無法者たちが自由に利用できる「海賊共和国」として繁栄しました。

当時のカリブ海周辺では、新大陸からヨーロッパに向けて、大量の銀や砂糖を積んだスペインのガレオン船が頻繁に行き交っていました。この富に目を付けたのが、新大陸の覇権争いでスペインに劣勢を強いられていたフランス、イギリス、オランダといった新興国です。

たとえば1520年から1560年にかけては、フランスの私掠船がスペインの商業圏に戦いを挑みました。また、17世紀にはオランダ西インド会社が各地に拠点を築き、フランスから逃れたプロテスタント(ユグノー)たちも植民地を設立するなど、カリブ海は各国の思惑が交差する激動の海だったのです。

私掠船(しりゃくせん)と海賊の違い

実在の海賊を語る上で欠かせないのが「私掠船(しりゃくせん)」の存在です。一般的に海賊といえば、国籍を問わず無差別に船を襲う無法者というイメージがありますが、当時のカリブ海では事情が大きく異なりました。

当時、イギリスやフランスは強力なスペイン帝国の貿易網を破壊するため、自国の民間船に対して「私掠免許(Letter of Marque)」という公式な許可証を発行しました。この許可証を持った船は、敵国(主にスペインやポルトガル)の船に限り、合法的に襲撃と略奪を行うことが認められていました。つまり彼らは、国家に雇われた「傭兵」のような立場だったのです。

しかし、18世紀に入りヨーロッパ諸国間で平和条約が結ばれ、正規海軍が整備されると、国家は私掠船を必要としなくなります。平和が訪れて仕事を失った乗組員たちは非合法の「海賊」となり、かつての雇い主である自国の船まで襲うようになりました。

国家の都合で英雄として扱われ、用済みになれば犯罪者として討伐される。海賊たちの歴史には、そんな悲哀に満ちた背景が存在しています。

【世界史】伝説となった有名な実在の海賊一覧

大航海時代以降の西洋世界で数々の伝説を残した、実在の有名海賊たちを紹介します。彼らの多くはわずか数年という短い活動期間でありながら、人々の記憶に永遠に刻まれる強烈な個性を放っていました。

黒髭(エドワード・ティーチ)|悪魔と恐れられたカリブ海の覇者

「黒髭」ことエドワード・ティーチは、誰もが最初に思い浮かべる典型的な海賊のアイコン的存在です。豊かな黒い髭に導火線を編み込み、火をつけて煙を上げながら戦闘に臨むという常軌を逸したスタイルで、敵船の乗組員を震え上がらせました。

彼の戦闘スタイルは、物理的な攻撃力以上に「恐怖」という心理的兵器を利用するものでした。どこかに莫大な財宝を埋めたという伝説や冷酷無比な振る舞いが語り継がれていますが、実は彼が率いていた艦隊は最盛期でも船4隻、乗組員300人程度。活動期間も数年と短かったものの、その強烈なキャラクターから映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』のジャック・スパロウのインスピレーション源になるなど、海賊の代名詞として君臨し続けています。

キャプテン・キッド(ウィリアム・キッド)|悲劇の海賊狩り

ウィリアム・キッドの生涯は、国家の陰謀と海での過酷な現実が交差する悲劇的な物語です。

もともとニューヨークで尊敬される名士だった彼は、1695年にイギリスの政財界の有力者から出資を受け、「海賊討伐」と「フランス船の拿捕」を目的とした私掠船の船長に任命されます。

しかし、彼の航海は不運の連続でした。イギリス海軍に優秀な船員を奪われ、素行の悪い元海賊たちを雇わざるを得なくなり、さらに疫病で船員の3分の1が死亡。不満を募らせた乗組員とのトラブルの末、キッドは激昂して部下を死なせてしまう事件を起こします。

その後、フランスの通行証を持つ商船を拿捕したキッドはこれを合法だと信じていましたが、本国では大スキャンダルとなっており、いつの間にか「凶悪な海賊」として指名手配されていました。保身に走った出資者たちに裏切られた彼は投獄され、最終的にロンドンで絞首刑に処されます。見せしめとして遺体は鉄の檻に入れられ、テムズ川のほとりに数年間も吊るされる凄惨な最期を遂げました。

バーソロミュー・ロバーツ|海賊の掟(掟書)を作った男

バーソロミュー・ロバーツ(通称ブラック・バート)は、海賊の黄金時代終盤に現れた史上最も成功した海賊の一人です。

彼の最大の特徴は、海賊団の内部規律を厳格に定めた「海賊の掟(Pirate Code)」を明文化したことにあります。

戦利品の平等な分配、賭博の禁止、消灯時間の厳守、女性や少年を船に乗せることの禁止など、粗野な荒くれ者たちを統制する高度な組織運営能力を持っていました。彼は漫画『ONE PIECE』に登場するバーソロミュー・くまのモデルの一人としても知られています。

ヘンリー・モーガン|海賊から提督・総督に出世した英雄

多くの海賊が悲惨な最期を遂げる中、社会的な成功と天寿を全うした稀有な例がヘンリー・モーガンです。

イングランド王室の許可を得てスペインの拠点を攻撃する「公賊」として名を馳せた彼は、パナマ地峡への襲撃で圧倒的な勝利を収め、莫大な富を手にしました。

この過激な行動で一時は軟禁状態に置かれたものの免罪され、イギリス国王から「ナイト」の爵位を授与されてジャマイカの副総督に任命されるという異例の大出世を果たします。晩年は大規模なプランテーションを経営する資本家となり、かつての仲間である海賊たちを取り締まる側に回りました。1688年に天寿を全うし、国葬で手厚く葬られています。

サミュエル・ベラミー(ブラック・サム)|最も稼いだ海賊王子

サミュエル・ベラミー、通称「ブラック・サム」は、活動期間わずか3年弱でありながら、歴史上最も多くの富を稼ぎ出したとされる人物です。黒く長い髪をサテンの紐で結わえ、4丁のピストルを腰に差す独特のスタイルで知られていました。

彼は非常に民主的なリーダーであり、貧しい船乗りたちを解放するという独自の正義感を持っていました。拿捕した船員に寛大だったため「海賊のプリンス」と呼ばれましたが、一方で残忍な逸話も残されています。彼が使用した「髑髏と交差した骨」が描かれた黒旗は、後世の海賊旗のスタンダードとなりました。

【女性】歴史を揺るがした実在の女海賊一覧

海賊の世界は男たちの独壇場というイメージが強いですが、歴史上には男性顔負けの活躍を見せた強烈な女性海賊たちも存在していました。

アン・ボニー|情熱的で好戦的なカリブ海の女海賊

アン・ボニーは、バハマのナッソーで活動した史上最も有名な女海賊の一人です。「キャラコ・ジャック」ことジョン・ラカムの海賊一味に加わりました。

本格的な活動期間はわずか2ヶ月間で、略奪の規模も決して大きくありませんでした。しかし彼女が伝説となったのは、その好戦的な性格にあります。戦闘時には男装して無慈悲に暴れ回り、イギリスの元私掠船に急襲された際も最後まで激しく抵抗しました。死刑判決を受けますが「妊娠している」と主張して刑を免れ、その後は静かに余生を送ったと言われています。

メアリ・リード|男装して海を渡ったアンの相棒

アン・ボニーの無二の相棒として知られるのがメアリ・リードです。幼い頃から亡くなった男児の身代わりとして男装で育てられ、軍隊経験を経たのちにジョン・ラカムの船に拿捕されて海賊に加わりました。

新入りの「美青年」だった彼女にアン・ボニーが恋をしたことから、お互いが女性であることを打ち明け合い、親友となります。恋人が歴戦の海賊と決闘することになった際、前夜に自ら相手に喧嘩を売って殺害し、恋人の命を救ったという苛烈な伝説が残されています。彼女もアンと共に死刑を免れましたが、獄中で熱病にかかり亡くなりました。

チン・シー(鄭一嫂)|数万人の海賊を束ねた中国の女傑

世界史上で「最も成功し、強大だった海賊」を挙げるなら、19世紀初頭の中国で活動した女性海賊「チン・シー(鄭一嫂)」に他なりません。

元娼婦だった彼女は海賊の首領と結婚し、夫の死後は自らがトップに君臨。絶頂期には船1800隻、構成員数万人に達し、一つの国家の海軍をもしのぐ軍事力を誇りました。

これほどの組織を維持できた背景には、海軍のような「鉄の掟」があります。命令違反や横領は即座に斬首、徹底した歩合制と資金管理を行い、地元民とは良好な関係を築きました。政府の討伐を前に自ら出頭して交渉を行い、構成員全員の恩赦や財産没収免除といった圧倒的に有利な条件で組織を解散。引退後は賭博場を開業し、貴族の地位を与えられて天寿を全うするという大往生を遂げました。

【日本・アジア】東洋の海で活躍した海賊(水軍)一覧

日本の歴史においても、「海賊」あるいは「水軍」と呼ばれる海上勢力が重要な役割を果たしてきました。彼らは単なる略奪者ではなく、時に強大な軍事力として戦国大名や朝廷の行く末を左右しました。

村上水軍(村上武吉など)|瀬戸内海を支配した日本最大の海賊衆

戦国時代に瀬戸内海を支配したのが、日本最大の海賊衆と呼ばれる「村上水軍(村上海賊)」です。平時には水先案内や海上警固を行い、海の関所で通行料を徴収。支払わずに強行突破する船には容赦なく襲撃を行いました。一方で、茶や連歌を嗜む文化人としての顔も持ち合わせていました。

戦時には「小早(こばや)」という小型船を操り、「焙烙火矢(ほうろくひや)」を用いた焼き討ち攻撃を得意としました。1576年の第一次木津川口の戦いでは織田信長の水軍を完全に打ち破りますが、2年後の第二次木津川口の戦いで九鬼嘉隆の鉄甲船に敗北。のちに豊臣秀吉の「海賊停止令」により海の支配権を失い、大名の家臣へと組み込まれていきました。

藤原純友|平安時代に反乱を起こした元貴族の海賊

平安時代中期、西日本で巨大な海賊の反乱を引き起こしたのが元貴族の藤原純友です。海賊討伐の任に就いていた彼自身が海賊の首領となり、瀬戸内海全域を支配するに至りました(承平天慶の乱)。

大宰府を攻撃するなど朝廷を震え上がらせましたが、討伐軍によって反乱は鎮圧されます。現在でも彼が拠点とした日振島には莫大な財宝伝説が語り継がれており、愛媛の郷土料理「宇和島鯛めし」は、彼ら海賊のまかない飯がルーツとされています。

王直(おうちょく)|鉄砲伝来にも関わったとされる倭寇の頭目

16世紀のアジア海域で密貿易に従事した「倭寇」の最大の首領が、中国出身の王直です。日本の五島列島や平戸を根拠地とし、豪華な居宅を構えていました。

日本史において彼が重要なのは、1543年の「鉄砲伝来」に深く関わっている点です。種子島に漂着しポルトガル人によって火縄銃が伝えられた中国船の主こそ、王直であったと考えられています。日本史を動かした彼ですが、最終的には明の政府に捕縛され処刑されました。

フィクション(漫画・映画)のモデルになった海賊たち

実在の海賊たちは、現代のポップカルチャーに計り知れない影響を与えています。世界的ヒットを記録している作品には、歴史上の人物のエピソードが数多く散りばめられています。

『ONE PIECE(ワンピース)』のキャラクターと実在のモデル

大人気漫画『ONE PIECE』に登場する海賊の多くは、実在の海賊をモデルにしています。

ONE PIECEのキャラクター実在のモデル史実との関連・由来
マーシャル・D・ティーチエドワード・ティーチ異名や名前が由来。残忍さや野心的なキャラクター性が反映。
ジュエリー・ボニーアン・ボニー名前が由来。情熱的で男勝りなカリブ海の女海賊という設定。
ロロノア・ゾロフランソワ・ロロノアカリブ海で最も残酷とされたフランス人海賊が名前の由来。
バーソロミュー・くまバーソロミュー・ロバーツ厳格な「海賊の掟」を作った史実から、規律を重んじる設定に。
カポネ・“ギャング”ベッジアル・カポネ海賊ではないが、マフィアのボスという属性と軍略家としての特性を反映。
ゴール・D・ロジャーオリビエ・ルバスール処刑台から暗号文を投げ「私の宝を見つけろ」と叫んだ伝説がモデル。
ベラミーサミュエル・ベラミー名前が由来。史実のブラック・サムから取られている。

特に、海賊王ゴール・D・ロジャーの「俺の財宝か? 欲しけりゃくれてやる」という名ゼリフは、実在の海賊オリビエ・ルバスールがギロチン台で暗号文の入ったネックレスを投げ、「私の宝を見つけろ、それを理解できる者よ!」と叫んだ伝説と完璧に符号しています。

『パイレーツ・オブ・カリビアン』の背景と実在のモデル

映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズも、17〜18世紀のカリブ海の歴史的背景を色濃く反映しています。主人公のジャック・スパロウは、黒髭の狂気的でありながら計算高い振る舞いからインスピレーションを受けていると言われています。

映画に登場する幽霊船「フライング・ダッチマン号」は、傲慢さゆえに嵐を避けることを拒否し呪われたという実在の船長ヘンドリック・ヴァン・デル・デッケンの伝説がベースです。

物語の舞台となるポート・ロイヤルやトルトゥーガも実在した港であり、当時は本当に海賊たちがラム酒を飲み明かし、略奪品を売買する魔窟でした。

実在の海賊たちが残した歴史的ロマン

実在の海賊たちの歴史を追っていくと、彼らが単なる略奪者という言葉では片付けられない、複雑な背景と人間ドラマを持っていたことが分かります。

国家の代理戦争で「私掠船」として重用されながら、平和の訪れとともに海賊へと転落していった者たちの悲哀。過酷な社会の中で運命を切り拓いた女性たち。そして、日本史の転換点に深く関わった東洋の海賊たち。洋の東西を問わず、彼らは間違いなく歴史の歯車を大きく動かす存在でした。

大砲の煙とラム酒の匂いに包まれた海賊たちの黄金時代は過去のものとなりましたが、彼らが残した自由への渇望や莫大な財宝の伝説は、今もなお現代の作品の中で語り継がれています。彼らが大海原に刻んだロマンの波紋は、これからも私たちの心を惹きつけてやまないはずです。

参考

PinTo Times

  • x

-偏愛が気づかせる、私たちの見えていなかった世界-

なぜだか目が離せない。
偏った愛とその持ち主は、不思議な引力を持つものです。
“偏”に対して真っ直ぐに、“愛”を注ぐからこそ持ち得た独自の眼差し。
そんな偏愛者の主観に満ちたピントから覗かれる世界には、
ウィットに富んだ思いがけない驚きが広がります。
なんだかわからず面白い。「そういうことか」とピンとくる。

偏愛のミカタ PinTo Times